リアル『おちょやん』に感動
この10月から11月にかけて、話題のミュージシャンが次々に新譜をリリースしているので忙しい。とりあえず時間のある限り聴きまくっているけれど、完璧に曲を覚えるのに時間がかかりそう。エド・シーラン、アバ、コールドプレイ、エルトン・ジョン、ホールジー、ジェームス・アーサー、シルクソニック等の新譜が勢揃い。リトル・ミックスなんか初のベストアルバムをリリースした。
そして先週になってテイラー・スウィフトが『Red』という過去のアルバムの再録版をリリース。彼女は過去の音源を不本意に売却されたことで、自分のヴァージョンとして全て再録音を実施中。このアルバムとシングル曲は、過去の作品なのにいきなりトップに躍り出てきた。
さらに6年ぶりにニューアルバムをリリースしたアデルの勢いもすごい。今週になってシングル曲の『Esay On Me』はテイラーに1位を奪われたけれど、ずっとトップを独走していた。最近はこの曲がボクの頭から離れない。これから彼女のアルバムもじっくり聴き込まなくては。
そして昨日、その曲のライブ版のビデオが公開された。素晴らしい映像だったのでリンクしておこう。
さてまったく話は変わるけれど、少し前に『おちょやん』というNHKの連続ドラマが放送されていた。女優の浪花千栄子さんをモデルにしたドラマで、杉咲花さんが主演していた。このドラマが大好きなあまり、つい本物の『おちょやん』が気になった。ということで彼女の自伝を読んだ。
2021年 読書#118
『水のように』浪花千栄子 著という本。最初に出版されたのは昭和40年。浪花千栄子さんが亡くなったのは昭和48年なので、まだご健在だったとき。ちなみに亡くなる2日前まで仕事をされていたそう。彼女の生き様を象徴するような、女優として生き抜いた最期だったと感じた。
『おちょやん』のドラマが放送されたことで、この本は新装版として昨年に出版されている。ボクの世代にとって浪花千栄子さんという女優は、なんとなくの記憶しかない。オロナイン軟膏の看板のイメージが強い。
でもこの本を読んで、本当に素晴らしい女優さんだったことを知った。出演されている映画のラインナップだけでわかる。脇役として欠かせない俳優さんだったらしい。京都の嵐山に住んでおられたことも、京都人のボクは親近感を持ってしまう。
『おちょやん』のドラマが好きだった人は、是非ともオススメしたい本。実話のほうが壮絶で、かなり苦労されていた。ドラマでは芝居茶屋で奉公したことになっているけれど、実際は仕出し屋さんだった。そこでこき使われて、自殺を決行しかけたこともあったそう。
だけど死のうとして首に紐をかけたとき、店で飼っていた猫が甘えてきたらしい。それで自殺を思いとどまった。それ以来彼女は猫を愛するようになり、京都の自宅でも猫を大切に飼っておられた。
ボクはこの本を読んで、『おちょやん』の脚本を書かれた八津弘幸さんの筆力に感動してしまった。実際のエピソードを的確に汲み上げて、ドラマとして構成されていたのがよくわかった。自伝を読みながらも、ドラマのエピソードが頭に浮かぶ。その組み合わせが絶妙なので感心してばかり。
そうはいっても、やはり事実は小説よりも奇なり。リアル『おちょやん』に感動した。元夫の渋谷天外さんについては、いまだに許してない空気を感じて応援の拍手を送りたくなった。そんな気持ちも赤裸々に書かれていて、とても好感を持った。ついドラマのあの二人が浮かんでしまうけれどね。
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