写真に写ったら殺される
怪談話というのは、ストーリー性が欠けていると怖くない。因果関係が曖昧な恐怖話は、気持ち悪いだけ。『本当にあった怖い話』という漫画雑誌から始まったテレビ番組がある。
実際の恐怖体験談をドラマ化して紹介する番組。以前から観ているけれど、実話なので仕方ないとはいえ、本気で怖いと思えない作品が多い。それらは決まって最後に定型化した決まり文句で締められる。
「いったい、あれはなんだったのでしょうか?」
おいおい、それを知りたいから観ているのに、といつもここでズッコケる。せいぜいドラマのあとに胡散臭い霊能者が登場して、勝手な因果関係を口にするだけ。だから嘘くさくてちっとも怖くない。どうせ嘘なら、因果関係が明確なフィクションのほうがマシ。
そういう意味では、とりあえず納得できるストーリーで構成されているホラー映画を観た。
2021年 映画#175
『ポロライド』(原題:Polaroid)という2017年のアメリカ映画。日本で公開されたのは2019年。
物語の舞台は現代。つまりタイトルのポロライドカメラは、アンティーク商品として登場する。恐怖の構造は至ってシンプル。『リング』で呪いのビデオを観た人が殺されるように、この映画では、あるポロライドカメラで写真を撮影された人が死んでしまう。
映画の冒頭では、母の遺品だというアンティークのポロライドカメラを見つけた若い女性が登場する。フィルムのカメラや現代のスマートフォンとちがい、ポロライドカメラで撮影した写真は世界で1枚しか存在しないもの。
その女性は自分の恋人にとっておきの写真を渡そうと決意。そして写真撮影後に殺されてしまう。そしてそのカメラを手にしたのが、アンティークショップでアルバイトをする高校生のバードという女性。カメラオタクの彼女は、すぐにそのカメラを自分のものにしてしまう。
ところが試し撮りで撮影したアルバイト仲間のタイラーが誰かに惨殺されてしまう。友人のパーティー会場で警察からその報告を受けた彼女は、事情がわからなくて混乱する。やがてそのポラロイドカメラに原因があると確信する。
困ったことには、そのパーティーで友人と、バードが恋焦がれているコナーの写真を撮ってしまった。写っているのは4人。ところが彼らの背後にあった窓ガラスにバードも写っていて、5人の命が何者かに狙われることになった。
写真には得体のしれない黒い影が写っていて、その影は殺すターゲットを決めると移動する。写真を破棄しようと思っても無理。写真を燃やせば、そこに写っている人の身体が発火する。だからもし写真を破れば、身体が真っ二つになってしまう。実際、そんなシーンがラスト近くで出てくる。
ということでバードとコナーの二人が、このカメラにまつわる因縁を追求していくという物語。その背景には、バードたちが通っている高校で起きた過去の殺人事件が関係していた。そのカメラは連続殺人の容疑者として射殺された犯人の持ち物だった。
まだ比較的新しい映画なので、ネタバレはここまでにしよう。多少のツッコミどころはあるけれど、納得できるストーリー構成になっていた。そして悪霊を退治する方法も理にかなっていたと思う。
とにかく「いったい、あれはなんだったんでしょう?」では終わらないのでよかった。エグいシーンも少ないので、子供でも気軽に楽しめるホラー作品だと思うよ。
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