自分の正義は全てに勝る
人間というのは、突き詰めれば自己中心的な生き物。赤の他人より友人が大切で、友人より家族が大切で、家族より自分が大切、という図式を完全否定できる人は少ないだろう。人間は主観的な生き物なので、自分の物差しでしか善悪を判断できない。
例えば法に触れることがわかっていても、自分にとっての『善』のためなら止むを得ないと正当化する。その極端な例が殺人かもしれない。
そんな自分勝手な人間たちが殺し合うという映画を観た。困ったことに殺し合っているのは特殊部隊の兵士たちだった。
2021年 映画#177
『サボタージュ』(原題:Sabotage)という2014年のアメリカ映画。シュワちゃんことアーノルド・シュワルツネッガーが主演している作品。彼が演じているのは麻薬取締局の捜査官であるジョン。
ジョンが率いているのは荒くれ者を集めた特殊部隊。先ほどの写真のようなメンバーで、軍隊の特殊部隊に所属していたような人物ばかり。危険な任務を押し付けられる部隊で、潜入捜査や突入によって麻薬組織を撲滅するのが使命。
そんな仕事だから、ヤバい出来事に巻き込まれることもある。ジョンは2年前にメキシコの麻薬カルテルのボスを逮捕した。ところがメキシコ警察に引き渡すとき、口封じを命令されたメキシコの警察官にボスを殺されてしまう。そのことでジョンは組織に逆恨みされてしまった。
ジョンの妻と息子が拉致され、その組織によって殺されてしまった。そんな心の傷を抱えながらも、ジョンは麻薬組織の撲滅に奔走していた。あるとき、要塞と化した組織のアジトに突入することになった。そこには麻薬で集めた2億ドルの闇資金がある。
突入に成功したジョンの部隊は、ある不思議な行動を取る。2億ドルの現金のうち1000万ドルをアジトの下水道に隠した。つまりジョンの部隊による持ち逃げ。ところが制圧が終了してから隠し場所に全員で行くと、そのお金が誰かに奪われていた。
麻薬取締局は金の一部が失われたことで、ジョンたちに疑いをかける。だけど証拠もなく、やがて全員が無罪放免となって職務に復帰する。ところがその直後、ジョンの部隊のメンバーが次々と殺されていく。考えられる犯人は金を奪われた麻薬組織。
メンバーの二人目が殺されたとき、ある証拠が見つかった。それはジョンたちが制圧した麻薬組織が雇った特殊部隊の痕跡。ところがジョンと協力していた女性刑事のキャロラインがある事実に気づく。ジョンのメンバーが殺される前に、その特殊部隊の兵士たちは殺されていた。要するに彼らの犯行に見せかけるためだった。
だったらジョンの部下を殺した真犯人は? そしてジョンたちの金を盗んだのは誰?
これらの謎に向けて、ラストで恐るべき事実が明かされる。この映画を観ていない人のために答えは明かさない。だけどある事実だけを記しておこう。
ジョンを含めたこの部隊の全員がエンディングまでに死んでしまう。そしてその背景にあるのは、2年前にジョンの妻と息子が殺された事件だった。とにかく自分勝手な人間たちが疑心暗鬼になって殺し合うという作品。自分の正義は全てに勝る、という論理に基づいている。
少しおじいちゃんのようになったシュワちゃんだったけれど、この映画の演技としては最高だった。さらに部下役で出演しているサム・ワーシントンがファンキーでカッコいい。昨日ボクがブログで紹介した映画の主人公だけれど、同じ俳優だとは思えない素晴らしい演技だった。
ただしこの映画を見る人には注意をしておこう。かなりエグい。血液が飛び散るなんて生ぬるいからね。内臓や脳みそがばら撒かれるシーンが続くので、子供には絶対無理な作品だと思う。ここまでエグい描写をする必要性がわからない。リアリティはあるけれど、食後に見るのはやめたほうがいいかもねwww
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