アシモフの宇宙観への接触開始
今年になって放送された『ファウンデーション』という海外ドラマ。すでにシーズン1が終了した。トランターという銀河帝国の皇帝が支配する惑星と、帝国の支配に抵抗する他の惑星人たちの物語。
とても面白かったけれど、独特の宇宙観があってわからない部分が多い。原作はアイザック・アシモフという著名なSF作家の小説。どうやらその原作を読まないと、完璧に理解できないという感じがした。ということで調べてみると……。
『ファウンデーション』シリーズだけで7作品、そして他の作家による続編が3作。さらに『ファウンデーション』世界の基礎となるアシモフの作品が3作もある。こうなったら徹底的にこの世界へと飛び込みたい。ということでついにアシモフの宇宙観への扉を開けた。
2021年 読書#127
『宇宙の小石』アイザック・アシモフ著という小説。写真を見たらわかるように、かなり年季の入った本。著者がこの作品を出版したのは1950年で、邦訳が出版されたのは1972年。おそらく多くの人がこの本を手にしたんだと思う。
アイザック・アシモフという名前は以前から知っていた。SF小説の大家で、彼に影響を受けたクリエイターは多い。まだ1冊目だけれど、アシモフにハマってしまう人がいる理由がわかった。たしかにメチャメチャ面白くて、刺激的な作品だった、
冒頭から驚く。シュワーツという高齢の洋服屋が散歩をしていた。ところがある研究室で実験上の事故があり、彼はタイムトラベルを余儀なくされる。たどり着いたのは8000年後の地球だった。浦島太郎どころじゃないwww
未来世界の地球は、下等民族が暮らす惑星として差別を受けていた。もちろん言語も変わっていて、シュワーツは言葉が通じない。宇宙では知的生命体の存在する惑星が帝国を形成していた。その頂点となるのはトランターという惑星で、皇帝はその星にいる。これは『ファウンデーション』の設定と同じ。
『宇宙の小石」というタイトルは、銀河の他の人間から忘れ去られたちっぽけな存在となった地球を象徴している。放射能汚染で住める環境が限定されていて、地球人は60歳になると強制的に安楽死させられる。
その地球を調査しにやってきたのがアーヴァンダンというシリウス出身の考古学者。もしかしたら全宇宙の人類の祖先は地球人だったのでは、という仮説を持っている。そしてこの訪問によってシュワーツと出会ったことで、人類の起源は地球だったと確信する。
この前提だけでもワクワクする。さらに物語は想像を超える展開を見せてくる。地球人は帝国人の支配から脱するため、地球人のみに免疫のあるウイルスを開発していた。それを宇宙に放てば、数ヶ月のうちに全宇宙の地球人以外の人間は死んでしまう。コロナ禍のいまではシャレにならない。
言葉を話せないシュワーツは「シナプシファイアー」という装置の実験台にされ、脳を進化させたことで特殊能力を持つことになる。その能力によって、地球人の陰謀者が起こそうとしていた反乱を防ぐことができる。もちろんアーヴァンダンも協力するし、陰謀を見抜いた地球人科学者シェクト、その娘のポーラも活躍する。アーヴァンダンとポーラの恋物語も仕込まれている。
『ファンデーション』のドラマで活躍する黒人女性がいる。その人物がシュワーツと同じような精神感応力を持っていた。もちろんトランターの皇帝も登場する。さらにこの小説で地球人の裏切り者が関わってくる「古代教団」もドラマで大きな影響を持っていた。
まだまだ1作目だけれど、トランター、特殊能力、古代教団というドラマにおける謎のヒントがすでに登場してきた。ドラマでは地球のことは出てこないけれど、人類の起源が地球だということもわかった。謎はいくつも残るけれど、とにかく一歩だけでもドラマの世界に近づいたような気がする。これからの旅がさらに楽しみになってきたなぁ。
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