ヤバいことを想像する理由
崖っぷちに立っていたり、足場の狭いビルの屋上にいる夢を見ることはないだろうか?
大抵は怖くて足がすくむ。お尻がゾワゾワとして夢であっても動けない。そしてこのまま落ちたら、あるいは飛んだらどうなるだろうと想像してしまう。絶対にヤバいとわかっているのに。
ただこの段階で夢だと気がつくと、ボクはその欲望に身を任せる。思い切りジャンプして、そのまま空を滑空する。まぁこれは明晰夢だからできること。夢だとわからないと、ガタガタと震えることしかできない。
絶対ヤバいと思うのに、それをやっている自分を想像してしまう。そしてふとそんな誘惑に駆られてしまう。こういう現象は人間に共通するものらしい。
高い場所にいるときにふと「飛び降りたらどうなるかな?」と思ってしまう「虚空の呼び声」とは?
このタイトルのような状況を「虚空の叫び声」とフランス語ではいうらしい。まるで悪魔の誘惑のよう。この「虚空の叫び声」は普段でも感じることがある。
ボクがよく思うのは、我が家のサボテンを運んでいるとき。ボクが種から育てたサボテンは健康優良児。針がめちゃ鋭くて固い。うっかり触れると、しばらくは痛い思いをすることになる。
そんなサボテンの鉢を、天気のいい日にはバルコニーに出してやる。そして日が当たらなくなると部屋に入れてやる。「虚空の叫び声」を感じるのはそんなとき。バルコニーから部屋に入ると、大抵近くに猫のミューナが寝ている。
もしサボテンを持ったボクがつまづいて、ミューナの上にサボテンの鉢をぶちまけたらどうなるだろう? という恐ろしい想像をしてしまう。ミューナは全身がサボテンの針だらけなるだろうし、部屋中にサボテンの砂がばらまかれる。最悪の場合、陶器の鉢が割れるかもしれない。
こんな風に絶対ヤバいということを、ボクはすぐ想像してしまう。そしてその状況が映像になって見えてしまうこともある。でもこれは決してサボテンの鉢をひっくり返したいという願望じゃないらしい。高いところに立ったときに「飛び降りたらどうなるだろう?」と考えるのは、自殺願望じゃないとのこと。
これは人間の危機管理のひとつで、本能的なものらしい。大学の研究チームが調査して科学雑誌に発表した内容によると、虚空の叫び声とは「脳が発する危険信号を脳が誤解した結果」とのこと。
高い危険な場所にいると、脳は「この場所は危険だから逃げろ」という信号を発する。その危険イメージが伝わるとき、人間は「やってみたいと思ったことだ」というとんでもない誤解をすることがある。それが虚空の叫び声の正体らしい。
だから注意しないと、本当に自殺願望がある人はヤバい。先日からネットを賑わしている芸能ニュースがあるから、あまり大きな声で言えないけれど。
ちなみに猫はこの虚空の叫び声を、具体的な実行に移す傾向が強いそう。まったく別の記事で読んだけれど、猫を高い階のベランダやバルコニーに出さないほうがいい。なぜなら飛び降り願望を実行することが多く、実際に高いところからジャンプしようとすることがあるらしい。
もしかしたら猫たちは、虚空の叫び声に素直に反応してしまうのかも。とにかく人間も猫も「君子危うきに近寄らず」だよね。
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