クリスマスは誰かを想う日
この冬一番の寒波が近づいている今年のクリスマス。神戸市内も明日は雪の予報なので、1日遅れのホワイトクリスマスになりそう。
この時期はテレビでもネットでも、クリスマス映画が目につく。ボクにとってクリスマス映画の定番は『ラブ・アクチュアリー』で、最近のオススメは『ラスト・クリスマス』という作品。『天使のくれた時間』もいいよ。クリスマス映画を観たい人は、この3つのどれを選んでも満足できるはず。
だけど今日たまたま観た映画が、なんとなくクリスマス映画にふさわしいと感じる作品だった。季節は夏だし、クリスマスはまったく関係ない。だけどその映画に流れているのは、クリスマスの精神だと思った。なぜならクリスマスというのは、誰かのことを想う日だから。
日本にいるほとんどの人は、普通にクリスマスを迎えているだろう。個々に見れば辛いことがあって、クリスマス気分じゃない人もいると思う。だけど内戦や大国の暴力による恐怖、それらに伴う貧困によって、悲しみに沈んでいる人がいるのも事実。
といってボクに何かできるわけじゃない。一人でも多くの人が笑顔になるのを願うだけ。クリスマスというのはそんな日だと思う。そのことを改めて思い出せてもらえる作品だった。
2021年 映画#189
『エターナル 奇蹟の出会い』(原題:ETERNAL)という2011年のロシア映画。ウクライナ出身であるミラ・ジョボビッチがロシア語で出演している作品。いつもゾンビと戦うイメージが強いけれど、この映画は彼女にしては珍しいコメディ作品。
ストーリーは強引だし、リアリティのない作品かもしれない。だけどそんなディテールを無視して楽しめる作品で、普段は見られないミラ・ジョボビッチの演技だけでも値打ちがあると思う。だけど美女の演技はこの映画の本題じゃない。主人公はある男性と少年たち。
教師をしているスラヴァは地方の街からモスクワへ出てくる。そこで自動車事故に遭う。運転していたのはミラ・ジョボビッチ演じるナージャ。これがきっかけで二人は婚約する。地方での教師を辞めてモスクワへ向かおうとしたスラヴァにトラブルが発生する。
サッカーの少年大会が行われる。ところが12歳という年齢制限を超えている子供ばかり。そのとき駅でサッカーコーチに間違われたスラヴァは、列車の切符もパスポートも大会を主催する地元議員に奪われてしまう。翌日までに12歳の子供を集めて大会に参加しなければパスポートを返さない、と言われた。
かなり無理な展開なんだけれど、とにかくナージャが待つモスクワへ行きたい。そのために必死で12歳の子供を探す。それで出会ったのがストリートチャイルド、つまり孤児の集団だった。サッカーに負ければすぐにモスクワへ行ける。そう思って試合に参加する。
ところが少年たちは試合に勝利してしまう。どうにかして負けさせようとスラヴァは頑張るけれど、孤児たちは必死。なぜなら決勝戦まで行けばテレビに映る。そうすれば親たちが迎えにきてくれるかもしれない。そんな淡い期待が彼らのモチベーションだった。
ということで、スラヴァと少年たちの心の交流を描く物語になってくる。最終的にはスラヴァは結婚を諦めてでも、少年たちを優勝させようとする。ストーリーは陳腐でも、彼らの友情にこの映画の監督の熱いメッセージを感じた。素直に楽しめる素晴らしい映画だったと思う。
たまたまクリスマスに観たことで、普通にクリスマスを祝えない環境にいる子供たちのことを想ってしまった。一人でも多くの人に笑顔になってほしい。そう思わせてくれるこの作品は、ある意味完璧なクリスマス映画だと思う。
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