千里眼なんていらないよね
半分ネタのような感じだけれど、今日もパソコンでブログサイトにログインできない。ちょっと笑えてくるwww
スマートフォンだと普通にログインできて記事を更新できる。なぜパソコンだとダメなんだろう。キャッシュが残っている可能性もあるので、それなりの対処をしている。だけど「現在、サーバーに問題が発生しております」という表示が出るだけ。
まぁ原因がボクではなく、サーバーだと言ってくれているだけ思いやりがあるかな。「あんたが悪いのとちゃう?」とか言われたショックだもんね。
こんなとき過去も未来も見通せる『千里眼』があればいいなと思う。そうすればトラブルの原因、対処法なんかが一瞬でわかるはず。それどころか未来に起きることの全てを知ることができる。
そんな便利な『千里眼』だけれど、本当にその力を手にしても幸せじゃないかもしれない。そんなことを感じさせてくれる小説を読んだ。
2021年 読書#131
『てんげんつう』畠中恵 著という小説。妖(あやかし)が大活躍する『しゃばけ』シリーズの作品。2001年から年に1作のペースで出版されていて、この作品は2019年に出版された第18弾。いよいよ最新刊に追いついてきた。
廻船問屋兼薬種問屋の若旦那である一太郎が主人公の時代小説。彼の祖母は有名な妖なので、一太郎は妖たちが見えるだけでなく、彼が暮らす離れにはいつも妖たちが集結している。レギュラー陣は安定して登場していて、短編小説を繋ぎながらも全体として物語が進行している。
『てんぐさらい』
『たたりづき』
『恋の闇』
『てんげんつう』
『くりかえし』
という5つの短編が収録されている。今回面白かったのは、一太郎の祖母。おぎんという名前で、すでに神の庭で暮らしている力を持った妖。このおぎんが、孫の一太郎のことである妖と大げんか。なまじパワーがある二人の喧嘩だから、山と川がひとつ吹っ飛んだ。そのことを上位の神に叱責されたおぎんは、100年の刑期で岩戸に閉じ込められてしまう。
そんな祖母の刑期を短くするため一太郎が奮闘する。物語の前半はそのやりとりが中心。後半はまだ幼い少女の於りんが関わってくる。彼女は一太郎の許嫁。妖が見えることで、未来の嫁入りが決まっている。この可愛い於りんにまつわる物語が後半のテーマとなっている。
それぞれに面白かった。特に『てんげんつう』という物語がいい。『てんげんつう』というのは最初に書いた『千里眼』のこと。ある猫を大切に育てた男がいた。その猫が20年という年齢を生きて猫又という妖になった。そのお礼にと、その猫が持っていた『千里眼』をもらう。
そのせいで、この男は関わる人の過去と未来のすべてが見えるようになった。どこにいけばお金が落ちているのもわかるから、生活にも困らない。だけど親切に他人にアドバイスすると、大抵は嫌われてしまう。人間というのは未来を知りたいと思いつつも、実際に聞かされるのは嫌だということ。そりゃそうだろうね。そもそも未来を知っていたら楽しくない。
ということで孤独を抱えた『てんげんつう』の男が、一太郎に助けを求めてくるという物語。人間に必要なのは、確定した未来じゃない。自分でその未来を全力で体験することこそが、心の奥で人間が求めているものだということ。そんなことを感じさせてもらえる物語だった。この調子で読み進めたら、年が明けて春がくる前には最新作に追いつきそうだな。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする