老化を左右する心理時間
いよいよ今日は2021年の大晦日。ついこの前に年明けだったような気がするのに、もう1年が経つなんて。歳をとるほど時間の経過が早くなる、とよく言われる。たしかにそうだと思う。
子供のころって、1日が長かった記憶がある。小学校に入る前、親戚の家へ行ったときにそんな気分を味わった。大人たちは会話で時間を潰している。だけど子供はすることがない。このまま永遠に時間が止まってしまうのでは、と本気で感じたことを覚えている。
そんな時間の経過に関して、恐怖を覚えるという症状があるらしい。
時間の経過が怖い。クロノフォビア(時間恐怖症)を発症する人は意外に多い
こんな症状があるのを初めて知った。時間が経過することに恐怖と不快感を覚えるらしい。いつもより時間の経過が早い、あるいは遅いということを過剰に意識する。ある種の不安症なんだろう。症状としては息切れ、発汗、動悸、めまい等が出るとのこと。
比較的発症しやすいのは高齢者。死期が近いという感覚によって、時間の経過が怖くなると予測されている。だから刑務所の受刑者にも多いらしい。
ボクの勝手な想像だけれど、おそらく物理時間と心理時間に大きな差が出ることによる症状だと思う。時間には物理時間と心理時間がある。物理的に1時間は3600秒という明確な数字で示される。だけど心理的には、その1時間を長く感じたり、短く感じたりする。
この物理時間と心理時間の剥離が、ネガティブな要素に基づく場合にクロノフォビアになるのではと思う。死期への不安や受刑期間というネガティブな時間経過により、物理時間と心理時間がズレてくる。それがあるレベルを超えると、具体的な症状として出てくるような気がする。
逆に言えばポジティブな様子に基づく物理時間と心理時間の差は、人間にとって素晴らしい影響を及ぼすと思っている。わかりやすいのは、何かに夢中になって時間の経過を忘れるという感覚。やりたいこと、楽しいこと、集中できること等に向き合うとき、人間はゾーンという心理状態になることがある。
ボクがよく経験するのは、集中して小説を書いているとき。1時間が15分くらいに感じることが何度もあった。これは物理時間から人間の意識が解放されている状態だと思う。つまり心は時間を経験していない。
これがもたらす効果は、老化防止だと考えている。肉体の老化は物理時間の影響を受けるので、年齢を重ねてくると肌に張りがなくなったり、白髪が増えたりする。だけど心の老化は肉体とは別に進行している。そんな心の老化を左右しているのは心理時間だと思う。
だから夢中になることがあってゾーンに入ることが多い人は、見た目は高齢でもはつらつとして生気に満ちている。それは心理時間を経験しないことで、心の老化に要する時間をストップさせているからだと思う。
反対に毎日退屈だと思って生きている人や、嫌なことに時間を費やしている人は、心理時間を過大に経験してしまう。1時間なのに半日分くらいの心理時間を消費するかもしれない。つまりそれだけ心が老化しているということ。
どんなことでもいい。他人に迷惑をかけることなく、時間を忘れて夢中になれることを持っている人は、心の老化スピードを減速させているはず。見た目より若く見える人は、きっと心理時間の消費が少ないのだろう。自分のやりたいことを見つけるのは、そんな効果もあるということかもね。
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