これってどこまでが実話?
実話を基にした映画というのはよくある。だけど作品によって様々で、ドキュメントかと思うようなリアルなものから、ほどんどフィクションというような作品まである。ある映画のあらすじを見て、面白そうだと感じた。でも突飛な内容だったので、冒頭で実話に基づく作品というテロップを見て驚いた。
映画を観終わっても、やはりどこまで実話なのか気になった。なぜならかなりぶっ飛んだストーリーだったから。もちろん映画としては最高に面白い作品だった。
2022年 映画#13
『オーバードライブ』(原題: Snitch)という2013年のアメリカ映画。写真のドウェイン・ジョンソンが主演で、スーザン・サランドンが連邦検事役というキャストで飛びついた作品。その期待を裏切ることなく、上質のアクション映画に仕上がっていた。
ドウェイン・ジョンソン演じるジョンは苦労人で、大勢の従業員を抱える運送会社を経営していた。バツイチで再婚していて、再婚した妻とのあいだに二人の幼い子供がいる。前妻とのあいだにできた息子のジェイソンは高校生。前妻が引き取ったが、大学も決まり順調な生活を送っていた。
ところがジェイソンがトラブルに巻き込まれる。高校の友人に麻薬の売人がいて、1日だけ荷物を預かって欲しいと頼まれる。必死で断ったけれど、気になっている女性との間を取り持つと言われて了解してしまった。その点でかなりアホなんだけどね。
その麻薬には探知装置がついていて、ジェイソンは荷物を預かっただけでDEAに逮捕される。ここで登場するのが、アメリカの不可解な司法取引。麻薬で逮捕された場合、他の売人を密告すれば減刑される。10年の懲役が1年になったりする。
その司法取引を悪用したのがジェイソンの友人。自分が逮捕されたとき、ジェイソンの名前を出して減刑を勝ち取った。ところがジェイソンは荷物を預かっただけ。麻薬の売人なんて知らない。検察もそのことをわかっているけれど、法律だからどうしようもない。
法廷で争う姿勢を見せたジェイソンは、荷物を預かっただけで懲役10年の実刑になってしまった。明らかな冤罪なのにね。こうなると父のジョンは黙っていられない。息子を助けるために、自分が麻薬の売人を見つけようとする。
スーザン・サランドン演じる連邦検事キーガンとの交渉に成功したジョンは、従業員の履歴書をチェック。そして麻薬で二度逮捕されたことのあるダニエルに売人との仲介を頼む。だけど3回目の逮捕になればダニエルは終身刑になってしまう。彼にも幼い息子がいるのでジョンの申し入れを断るが、お金に困っていたダニエルは渋々引き受ける。
この作戦がうまくいって、ジョンはかなり大物の麻薬売人を追い詰めた。そのまま売人を逮捕してくれたら、息子のジェイソンは釈放される。なのに DEAの捜査官の判断で、逮捕が中止された。なぜなら売人の会話で、もっと大物であるメキシコの麻薬カルテルのボスの名前が出たから。
検事のキーガンは選挙が迫っている。だからより大物をあげたい。そこでもう一度ジョンに協力するように強制する。ところが麻薬の売人も、そして検事も信用できなくなったジョン。そこで彼はダニエルと相談して、息子を助ける計画を決行するという物語。
その奇抜な作戦が功を奏して、麻薬カルテルの莫大な現金とボスが逮捕される。キーガンは検事としての手柄を手にしたことで、ジョンの息子であるジェイソンを釈放した。ダニエルも多額の現金をジョンから退職金として与えられ、組織の追求が及ばない外国へ旅立つというエンディングだった。
コアなドウェイン・ジョンソンのファンには、少し物足りないアクション映画かもしれない。だけど身体は大きいけれど、運送会社の経営者だからね。スーパーマンのように戦う方が不自然だろう。ボクとしては十分にハラハラドキドキして楽しむことができた。そしてスーザン・サランドンの利己主義に徹した演技も素晴らしかった。
映画を観たあとに調べてみたけれど、結局どこまでが実話なのかわからなかった。おそらく息子の減刑のため、まったく関係のない麻薬の売人を見つけ出したのは事実なんだろうね。それにしても不可解な法律。こんな司法取引が存在することに、麻薬に関するアメリカの闇の深さを感じた。
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