カムカムの伏線回収に脱帽
1日遅れだけれど、ついに最終回を観た。あかん、過去の回想シーンを見てまた涙腺が崩壊してしまった。
ここ何年間は欠かさず見ているNHKの連ドラは、いつも最終回を見ると登場人物たちに会えないことで寂しくなる。だけどこの『カムカムエヴリバディ』終了は、これまでの寂しさを忘れてしまうほど辛い。100年という期間を毎日見てきたわけで、感情移入というレベルを超えて感情が癒着しているから。
ひなたを演じた川栄李奈さんがインタビューに答えていたけれど、このドラマに悪人は一人としていない。途中でヤバい登場人物もいたけれど、亡くなる前には改悛することで心の闇を昇華させている。だから本当に気持ちがいい。
安子、るい、ひなた、という三世代の物語が、これほど壮大で温かいものになると思わなかった。とにかく全編を通じておはぎが食べたくなったし、回転焼きが頭から離れない。『御座候』が神戸の六甲で販売していたら、おそらく大人買いしただろうと思うwww
そして3人を通じて欠かせないのが『英語』だった。安子と一緒にラジオ講座で英語を学んだるい。だけどその英語話す外国人が母を連れ去ったと誤解。英語を憎んだるいの娘であるひなたが、英語を通じて祖母の安子を見つけ出すという結末。本当によくできたストーリーだよね。
登場人物たちの歯車を狂わせたのは戦争。そういう意味では反戦というテーマも見え隠れする。だけどその苦難を通じて、結果として登場人物たちは密接につながり、幸せを見つけ出している。
再婚した安子の夫であるロバートは本当にいい人だったみたい。幸せな結婚生活だったらしく、安子が100歳になってもアメリカを離れないことに夫への気持ちが伝わってくる。るいだって母との辛い別れがあったからこそ、錠一郎という夫に出会えたんだからね。そしてひなたが生まれた。
どんな困難があっても、生きている限り幸せを見つけられる。そんなメッセージが全体に流れている物語だったように思う。とにかくるいを演じた深津絵里さんと、錠一郎を演じたオダギリジョーさんの夫婦が最高だった。最終回にカフェのカウンター席で並ぶ二人の姿は素敵だったなぁ。
すごいと思ったのは伏線回収の徹底度。まさに狂気と言っていいほど余すことなく回収されている。安子とるいの再会という感動のシーンに隠れて、とてつもない数の伏線が次々と回収されていた。最終回の一つ前でさえ驚いたのに、最終回にはまだ驚くような伏線回収が残されていた。
ドラマのラストシーンにびっくり。ずっとナレーションを担当していた城田優さんが、最終週になってひなたのラジオ講座の相手役のビリーとして登場したことに軽く驚いた。でもそれは序の口だった。
ひなたがまだ小学生のころ、映画村で外国人の美少年と出会う。それで英語を勉強しようと決意するんだけれど、その美少年は旅行なのですぐにアメリカへ帰ってしまった。彼女の初恋は、英語の勉強の挫折と共に消えた。そして五十嵐との恋愛も悲しい結末に。
ところが最終回のラストシーンで、その少年が日本に戻ってきたビリーだったというオチ。さすがにこれは予想外の展開だった。二人の未来はわからないけれど、おそらく結ばれたような気がする。だとしたらドラマのナレーションは、ひなたの夫がやっていたということになる。なんという伏線回収だろう!
カムカムロスは避けられそうにないけれど、来週からの新しいドラマに少しでも早く没入するようにするしかないね。
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