ライフハックは無意味な雑学
最近ネットでよく見かけるのがライフハックという言葉。情報処理業界で使われていた用語らしく、現在ではかなり一般的になってきた。ある作業をいかに簡便かつ効率良く行うかを主眼としたテクニックのこと。Twitter等で見ていると、なるほどなぁと感心することが多い。
ただそんなライフハックで、ボクの記憶に残っているものはない。見たときは感心しつつも、次のTwitterへ移るともう忘れている。まさに右から左という状態だった。
もしかしてこれはTwitterのような単発のもので知るからそうなるのであって、きちんと書籍として体系づけられているものなら勉強になるかもしれない。そう思ってある本を読んだ。
2022年 読書#38
『1日ごとに差が開く 天才たちのライフハック』許成準 著という本。本の表紙からもわかるように、88人の天才、あるいは成功者と呼ばれている人たちが実践しているライフハックを紹介した書籍。
ほとんどの人が名前を知っている芸術家、作家、音楽家、政治家、科学者、起業家等が登場する。もし名前を知らなかっても、会社名や業績を知るとわかるような人たちばかり。読み物としてはそれなりに面白かった。
ただしライフハックの学びという点に関して言えばTwitterと同じ。ヘミングウェイが立ったまま小説を書いたとか、ナポレオンが移動図書館と言っていい大量の書籍を持参して戦地に向かうほどの読書家だった、というようなことが紹介されている。
だけど読み終わっても、やはり右から左でほとんど記憶に残っていない。覚えているとしても、結果として無意味な雑学というようなものでしかない。なぜだろうと考えてみて、ライフハックという言葉が原因だと感じた。
ライフハックとして認知している限り、そこには便利なアイデアという程度の認識しかない。さらに短い文章で紹介されているのはTwitterと基本的に同じで、著名人が実際にそれらをどのように活用しかたかというところが見えてこない。こういう習慣だったと説明されても、ヘェ〜という言葉しか出てこない。
その答えはこの本の表紙に書かれていた。それは『習慣』という言葉。
ライフハックと習慣のあいだには、とてつもなく大きな壁がある。実際に自分が行動に移して続けてみないと、ライフハックは習慣にはならない。知識として読んだだけでは、単なる雑学でしかないということ。
だから正直言って、ボクがこの本を読んだ時間はあまり有意義ではなかった。なぜなら実際にボクがやっていることだったり、やってみようとは思わないものだったり、関心が持てないものだったから。絶対に習慣化しようと本気で考えるとすれば、かなり切羽詰まっていてどうにかしたいともがいているものでないと無理。
そんな苦悩から脱却するための答えを求めているのに、軽い紹介のようなライフハックを読んでも心に響かないだろう。著名人たちがなぜそのような習慣を身につけたのかという核心に迫るものでないと、実践しようという気持ちにまで到達しないと思う。
雑学本しては面白いけれど、人生を変える秘策をこの本から見つけるのは難しい。まずは実際に自分で試行錯誤すること。そのうえで答えを求めていれば、突破口を見出せる方法に手が届くと思う。そのヒントをくれそうな人物を見つけるという意味なら、この本は役に立つかもしれない。
この先ライフハックという言葉を見つけても、自分にとって本気で習慣化したいと切望するもの以外は無意味だと考える方がいいのかもね。
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