聾唖の両親が娘の歌唱力に感動
今年のアカデミー賞の作品賞は『コーダあいのうた』という映画が受賞した。Apple TVで配信された作品だった。ちょうど1年前に購入したMacBook Airの特典でAppleTVの無料期間があったのに、うっかりと見逃して残念な思いをした。ボクはマジで馬鹿(涙)
だけどこの作品はフランス映画のリメイクだった。つまり最初の作品が素晴らしいから、ハリウッドでリメイクされたということ。だったらこっちを観ればいいやんということで、本家の作品を観た。いやぁ、泣いた。マジで泣いた。本当に素晴らしい作品だった。
2022年 映画#57
『エール!』(原題:La famille Belier)という2014年のフランス映画。物語の舞台はパリ郊外の田舎町。主人公はポーラという女子高生で、両親と弟の4人暮らし。酪農で生計を立てていて、ポーラは朝早くから牛の世話をしたり、休日には自家製チーズを売るために青空マーケットで奮闘している。
なぜなら彼女の家は遺伝性の聴覚障害者の家族で、ポーラだけは耳が聞こえた。だから牛の飼料の売買の電話や、マーケットでの顧客対応に追われていた。家族のために犠牲になっているように見えて辛い。だけどポーラは家族を心から愛していて、そんな生活に不満を持っていないように見えた。
ところが学校で参加したコーラス部で、担当の教師から才能を認められる。審査の厳しいパリの音楽学校の試験を受けても合格できるはず。だから絶対に進学するべきだと勧められる。ポーラも初めて自分の夢を持つことができて、家族に内緒で練習を続けていた。
やがて父は聾唖者ながら村長に立候補する。ますます家族のために時間を割かなければいけないポーラは、最終的に進学を諦める。ポーラの受験を知った母が強硬に反対したから。娘が自分の元から離れる悲しみ、さらに唯一の健常者である娘がいなくなることの不安が入り混じり、母の感情が爆発した。
ポーラは自分の夢を殺して、パリの音楽学校を諦める。でもどうにか学校の発表会だけは出場した。もちろん両親も弟も学校へやってきた。そしてポーラが歌う姿に感動するとともに、聞いていた人たちが彼女の歌を聞いて感動の涙を流すのを目の当たりにする。だけど彼らはポーラの歌が聞こえない。
その日の夜、父はポーラに歌ってくれるように頼む。それが先ほどの写真のシーン。父の手はポーラの首に当てられていて、娘の声の振動を感じようとしていた。そして翌日、母を説得した父親たちと一緒にポーラは音楽学校を受験する。そのシーンがめちゃくちゃ感動する。
審査員以外に会場にいるのはポーラの家族たち。伴奏をしてくれるのはポーラを指導してくれた教師。またこの人がいい俳優さんだった。そしてステージで熱唱するポーラは素晴らしい歌声を聴かせながら、手話で歌詞を家族に伝える。その歌詞は家族への感謝の思いを込めた内容だった。あぁ、思い出すだけで泣けてきた。
その結果、ポーラは合格してパリに向かう。そして旅立ちの日のシーンがこれ。
本当に素敵な作品。そりゃハリウッドでリメイクするだろう。ちょっとムカつく母親も、実は愛情深い素敵な人。いい人しか出てこない。そしてポーラを演じたルアンヌ・エメラという女優さんがキュートで素敵だった。フランスのオーディション番組で決勝まで残った人物らしい。どうりで歌が上手いはず。もう一度観たいなぁ、と感じる作品だった。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。