過ちを認め謝罪する勇気
ボクは音楽も映画もイギリスびいき。幼いころに魂を撃ち抜かれたビートルズ以来、不思議と好きになったミュージシャンはイギリス人が多い。そして好きな俳優さんがこれまた結果としてイギリス人が多く、その俳優たちを追っかけているうちにイギリス映画のファンになってしまった。
イギリスの現代劇もいいけれど、ボクが心惹かれるのはヴィクトリア朝時代。産業革命が成熟して社会は大きな変化を迎えている。なのにまだ貴族が政治に強い影響を及ぼしているという微妙なバランス感が大好き。
そんなヴィクトリア朝時代より、もう少し昔の世界を描いた映画を観た。映画の舞台となった年代はわからないけれど、原作を書いたジェイン・オースティンが1815年に発表した作品なので、その時代のイギリス貴族社会がテーマとなった作品だと思う。
2022年 映画#93
『EMMA エマ』(原題:Emma.)という2020年のイギリス映画。ボクは恥ずかしながらオースティンという作家の小説を読んだことがないので、この物語を知らなかった。かなり有名な作品らしく、過去に何度か映画化されている。1996年にはグゥイネス・パルトロウ主演でも映画化されたそう。
最初はとっつきにくい印象だったけれど、中盤から後半にかけて引き込まれてしまった。エマという主人公の高慢で自分勝手なところにイライラしてしまう。だけど少しずつ彼女の心が見えてくる構成となっていて、前半の嫌な印象が一気にひっくり返されてしまう。そして物語が終わるときには、エマというキャラが大好きになってしまうという物語だった。
エマはお金持ちの貴族の娘。おまけに村いちばんの美人。彼女の趣味は知人たちの愛のキューピットとなること。映画の冒頭も、家庭教師を彼女の思惑どおりに結婚させた場面で始まる。
エマの次のターゲットは友人のハリエット。写真の左がエマで、右にいるのがハリエット。ハリエットは身分の低い男性を思っていた。だけどエマは親友がそんな男と結婚するのは許せない。エマに心酔しているハリエットは、彼女の忠告に従って思っている男性からのプロポーズを断ってしまう。
ところがエマの作戦は思うように行かない。ハリエットと結婚させようと思ったエルトンは、エマに告白してしまう。結果としてハリエットを傷つけたエマは、次のターゲットを探すという展開。
それ以外にもいろいろな人物が関わってくるが、自信過剰なエマは悪意なく他人を傷つけてしまう。そんなエマもついに好きな男性ができた。ところがハリエットもその男性に恋をしている。以前に裏切った経験があるから、どうしてもハリエットの恋を優先させたい。
ところが困ったことに、そのナイトリーという男性はエマに告白する。二度とハリエットを裏切れないと思ったエマは、あることを実行する
それはこれまでの自分の過ちを認め謝罪すること。ハリエットの最初の思い人の男性に真相を告白して謝罪。それだけでなく彼女の言動で傷つけた中年の女性にも誤りに行った。自分の間違いを訂正して、最初の状態に戻すために全力を尽くす。
これは簡単にできることじゃない。悪いと分かっていても、過ちを認めて謝罪する勇気はなかなか持てない。エマは苦しむけれど、彼女は全力でそれをやり通す。その姿を見せられたことで、彼女に対するネガティブな想いがポジティブ方向へと昇華される。そんなエマには素敵なハッピーエンドが待っていた。
エマを演じたアニャ・テイラー=ジョイという女優さんは、完璧なハマり役だったと思う。美人だし高慢な雰囲気もピッタリ。そして健気に自分を変えようとする姿も素敵だった。そしてエマの父親役を演じたビル・ナイが最高。いつみてもこの人はいい雰囲気のある俳優さんだなぁ。
素敵な物語だったので、原作を読んでみようかな。
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