110番で動画が送れるそう
先日観た映画は、物語の舞台が1978年だった。作品としては新しいので、違和感のない時代設定が必要になる。最初に目についたのがタバコ。主人公はヘビースモーカーで、自宅や職場だけでなく、医療施設のような場所でも平気で煙を吐き出している。そしてその行為を非難する人物は出てこない。
当時はそれが普通だった。どこの家にも灰皿があったし、タバコを吸いながら歩いている人は数えきれない。次に感じたのはバカでかい自動車。燃費の悪いガソリン車の全盛時代だから、至るところで大きな乗用車が走っている。
そしてもっとも顕著なのが通信手段。主人公に危機が迫って助けを求めようとしても、誰かに警告しようとしても、どこかで固定電話を探すしかない。普通の人が無線機を持ち歩いていることはないしね。現在が舞台の映画なら、当然のようにスマートフォンが使われる場面。
来月から日本の警察で新しい試みがスタートする。もしかしたらこれから先の映画やドラマでは、それが普通に使用されるようになるかもしれない。
110番で動画も送れるように 警察庁が「映像通報システム」をテスト運用へ
今年の10月1日から、110番通報で動画を送れるサービスがスタートするそう。しばらくは試行運用で、来年の4月1日から本格運用される予定。これはなかなか素晴らしいサービスだと思う。百聞は一見に如かずという言葉どおり、緊急時の映像を送ることで正確な情報を伝えることができる。
システムの概要を記事から抜粋しよう。
『110番に通報すると、電話口の担当者から通報者に映像などの送信が可能かを尋ねる。通報者の承諾が得られると、SMSでワンタイムURLを送信。担当者から口頭で伝えられるアクセスコードを入力することで、システムにログインできる。
ログインすると、スマートフォンのカメラが起動し、リアルタイムで映像を送ることができる。事前に撮影した映像も送信可能だ。映像は、現場に向かう警察官に共有され、初動活動に活用するという。県境の事案では、他県警察の通信指令室にも送信できるとしている』
このシステムのいいところは、110番を受けたセンターだけでなく、現場に向かう警察官にも動画が共有されること。悪質で、かつ緊急を要する事件の場合、現場と司令部との連携が取りやすくなると思う。容疑者を起訴する場合の証拠映像にもなるはず。
すべての警察官がこのシステムを熟知する必要があるから、有効利用できるまでには時間がかかるかもしれない。だけどそれだけの価値はあるシステムだと思う。
こうなってくると妄想が始まる。おそらく映画や小説でこのシステムが登場するだろう。物語として単なる証拠だけじゃなく、犯人のトリックにも応用できそう。例えばフェイク映像を送って警察官を現地に向かわせ、実は別の場所で犯行に及ぶことも可能。
あるいはリアルタイムの映像に見せかけて、録画を送ることもできるだろう。そうすることで時間差を生じさせ、アリバイ工作として悪用できる可能性もある。優秀な作家なら、このシステムを使って誰も気づかない仕掛けを考え出すかもね。
とにかく新しいシステムの運用が、犯罪の抑止力となればいいなと思う。
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