好感度が高い二次創作
グリム童話作品は、客観的に見ればかなりエグい。子供のころはあまり気にしないで読んでいたけれど、大人になってから実はかなりヤバい物語だと気づいた作品がずらっと並んでいる。
成人してから本気でひどいと感じた作品が『ヘンゼルとグレーテル』。これは14世紀初めのヨーロッパ大飢饉のころの舞台設定だと言われている。誰もが貧しさに喘いでいた。それゆえヘンゼルとグレーテルの兄妹は、貧乏な親に捨てられてしまうという物語。
父親は反対しようとするが、母は子捨てを強行する。その結果兄妹はお菓子の家に迷い込み、魔女との対決を強いられるという内容。童話では魔女に勝った二人が宝物を持ち帰って、父親と幸せに暮らすというエンディング。でも親が子供を捨てるという、とても恐ろしい物語だった。
その作品を現代風に二次創作した映画を観た。成人したヘンゼルとグレーテルが活躍するという物語。
2022年 映画#155
『ヘンゼル & グレーテル』(原題:Hansel and Gretel: Witch Hunters)という2013年のアメリカ映画。成人したヘンゼルとグレーテルは、なんと最強の魔女ハンターとなっていたという設定。この段階でしらける人もあるだろうけれど、ボクはこの手の飛躍が大好き!
ヘンゼルを演じるのはアクション映画ではお馴染みのジェレミー・レナー。グレーテルを演じたのは、同じくアクション映画によく出ているイギリス俳優のジェマ・アータートン。ボクとしてはこの二人のキャストだけでこの映画が面白くなると予感できた。
10年ほど前の映画なのでネタバレしていいだろう。子供のころに両親が二人を捨てたのは、黒い魔女たちの陰謀を避けるため。魔女は火あぶりで殺される。だから火あぶりに耐えられる肉体になる魔法を行おうとした。そのためには善なる白い魔女の心臓がいる。
ヘンゼルとグレーテルの母は最強と言われる白い魔女だった。だから彼女に勝てないと判断した黒い魔女たちは、同じ血を受け継いだグレーテルの心臓を狙った。そのことを察した両親が兄妹を森に逃したというのが真相。つまり二人は白い魔女の血を引いた人間とのハーフだった。だから強い!
ということで再び黒い魔女が集結して、火炙りに耐える肉体を得ようとした。そのために儀式の生け贄に12人の子供をさらった。もちろん絶対に必要なのはグレーテルの心臓。子供をさらわれた村人のため、魔女ハンターの二人は黒い魔女集団に戦いを挑む。
ぶっ飛んだストーリーながら、映像がスピーディーで最高だった。『スターウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』を彷彿とさせるテンポの良さで、娯楽映画として十分に楽しむことができた。なぜ日本公開が見送られたのか謎に思うほど。
必要ないと思ったのは、ヘンゼルと助けようとして犠牲になったミーナという白い魔女の死。最終的に生き残った4人がチームとして魔女ハンターになるのなら、彼女を死なせずに5人のチームにすればよかったのに。まぁ続編が出来そうな雰囲気はないので、結果としては意味ないけれどね。
とにかくグリム童話はエグい。映像的には子供に観せられない映画かも。
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