大河の主役が目立ってきた
昨年の暮れから今年にかけて、ボクの歴史脳は源平時代に染まっている。『平家物語』の現代語訳とアニメを観て、さらに今年の大河ドラマである『鎌倉殿の13人』にハマっている。それゆえその時代のことをもっと感じたくて、鎌倉幕府公認の歴史書である『吾妻鏡』現代語訳の制覇を目指している。
2022年 読書#97
『現代語訳 吾妻鏡5 征夷大将軍』五味文彦・本郷和人 編という本。『吾妻鏡』現代語訳も5冊目に入った。まだまだ先は長い。
ドラマではすでに源頼朝は亡くなり、二代将軍の頼家も死去。三代将軍の実朝が鎌倉殿であり、ドラマの主人公である北条義時は父の時政を追放して、ようやく鎌倉のために表舞台に立つことになった。
だけどボクが読了した『吾妻鏡』はまだずっと前の時代。今回は建久元年(1190年)〜建久三年(1192年)までの記録が現代語訳となっている。1192年といえば、ボクの子供時代には鎌倉幕府の成立だと教えられた年。だけど現在ではそれには異論が出ていて、あくまでも源頼朝が征夷大将軍になったというだけのこと。鎌倉幕府の成立は、もう少し前だというのが定説になっている。
ともかくこの本の頼朝はまだ元気。弟の義経討伐も終わり、鎌倉の威光は少しずつ京都の貴族たちを圧迫しつつある。1992年の初めには後白河法皇が崩御されて、それからまもなくして頼朝は征夷大将軍となった。彼にとって全盛期と言ってもいい時代。
ここまでの『吾妻鏡』では、ドラマの主人公である北条義時の名はあまり出てこない。平家討伐軍には名前が連ねてあったけれど、彼の場合は戦で目立つ行動をとっていない。そのままの雰囲気でここまできた感じ。
ところが頼朝が征夷大将軍となろうとするころから、彼の名前が頻繁に登場するようになった。まだ北条義時ではなく、江間四郎義時という名で登場する。父親の北条時政は健在だし、北条家の後継としてはまだ微妙な立場だった。江間という土地を所領にしていたので、江間義時として正式文書には登場している。
頼朝の長女の大姫も生きているし、義時の長男である金剛(のちの北条泰時)もまだ子供。これから本格的な粛清劇が始まるという、嵐の前の静けさという雰囲気。ただ『吾妻鏡』の著者たちとしては、ぼちぼち本命である北条義時の登場が欠かせない時期なのだろう。
『吾妻鏡』の目的は、鎌倉幕府を支配している北条氏の大義名分を語ることが目的。それゆえ実質的に初代執権となる北条泰時は『神』のように扱われているだろうし、その父親の北条義時については鎌倉を正しい方向に導いた人物として記されていくはず。
なんてたって承久の乱で後鳥羽上皇の陰謀を打ち砕き、上皇を流罪にしたのが北条義時だから。そしてそれ以降、徳川慶喜が大政奉還をするまで武士の政治が続くことになる。ということでいよいよ『吾妻鏡』も面白くなってきた。
次回は富士の巻狩がメインなので、曽我兄弟の仇討ちがある。この仇討ち事件こそが、陰謀的な粛清劇の先駆けのようなもの。楽しみだなぁ。
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