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高羽そらさんインタビュー

密告者の視点で描かれた大事件

現代はネット社会によって組織ぐるみの隠し事が難しくなっている。ある企業や組織において公にできないことがあっても、たった一人の人間がTwitterに投稿するだけで拡散されてしまう。証拠の映像や動画が添付されていたらアウト。素直に謝ったほうが組織の受ける傷は浅い。

 

だけどネットが存在しない時代は、内部告発は密告者として制裁を受ける可能性が高かった。特に大企業や政府が関係している場合、全力で密告をもみ消そうとするし、場合によっては命の危険も覚悟しなければいけない。

 

1972年に世界を揺るがした大事件が起きた。ウォーターゲート事件と呼ばれているもので、共和党のニクソン大統領辞任の要因となったもの。年末に大統領の再選を控えたニクソン陣営が、元CIAの工作員等を使って敵対する民主党本部に侵入して盗聴器を仕掛けようとした事件。

 

この事件に関する映画はこれまでいくつも制作されている。ボクもいくつか観た。その多くは最終的に世論を動かしたメディアを主人公にした作品。ワシントンポストが『ディープスロート』というFBIの密告者から得た情報を記事にした。そこからニクソン大統領の辞任へとつながっている。

 

ところがその『ディープスロート』側から描いた映画を観た。密告者の視点で描かれているので、この事件について新たな洞察を得られる良作だった。

 

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2022年 映画#162

『ザ・シークレットマン』(原題: Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House)という2017年のアメリカ映画。事件当時にFBI副長官代理で、2008年に亡くなったマーク・フェルトを主人公にした伝記映画。彼は2005年に自分が『ディープスロート』だったことを公式に認めている。

 

マーク・フェルトを演じたのは写真のリーアム・ニーソン。フェルトの写真を見たら、本人かと思うほどそっくりだった。髪の色を変えて、少し体重を絞ったのかな? FBIの独立性を守ろうとするマークの苦悩を、リーアム・ニーソンが完璧に演じていたと思う。

 

フェルトはホワイトハウスからもっとも恐れられていた。当時のFBIの長官は有名なフーヴァーだったが、長官に届く情報を事前にチェックしているのがフェルト。だからニクソン政権の高官たちは、自分たちの恥部を知っているフェルトに逆らえない。

 

ところが大統領選挙の再選前に、フーヴァー長官が亡くなってしまう。そこでニクソン政権の逆襲が始まった。本来ならフェルトが次の長官になると見られていた。だけどニクソンは自分の息のかかったグレイという人物を長官代理として送り込む。

 

さらにFBIを仕切っている司法長官を使い、フェルトに圧力をかけてくる。特にウォーターゲート事件が明るみになったとたん、FBIの捜査を政府が妨害してきた。あらゆる方面から脅しをかけ、ニクソン大統領が関わっていないという筋書きを強制してくる。

 

FBIとCIAは政府から独立しているからこそ機能する。癒着してしまえば政権の思うままになってしまう。そこでフェルトは表向きは政府に従いつつ、捜査情報をマスコミに提供した。それによって最終的にニクソン大統領が辞任することになった。

 

ただしフェルトも清廉潔白とは言えない。過去において法に触れるような捜査を指示していて、それに関して有罪判決を受けている。だけどその後に就任したレーガン大統領によって赦免を受けた。

 

とてつもない怒りを内面に抱えつつ、冷静な態度で職務をこなすフェルト。そんな難しい人物をリーアム・ニーソンが好演していた。地味な作品だけれど、緊張感が持続する見応えのある作品だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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