今こそ観るべき戦争映画
今年の2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻。ここのところがウクライナの逆襲報道が続き、ロシアがかなり焦っているように感じる。キーウ市内にミサイル攻撃をしたり、勝手に併合したウクライナの州に戒厳令を出しているプーチン大統領の言動は追い詰められた感が強い。
アジアだって人ごとではない。先日の中国共産党大会で3期目に突入して現代の毛沢東となった習近平は、武力による台湾統一の断行を明言している。アメリカの国務長官も、数年以内に中国による台湾への武力行使が起きる可能性が高いことを述べている。
武力によって他国を侵攻するとどのようなことが起きるか。その恐怖をリアルに感じさせてくれる映画がある。ボクがこれまで観た戦争映画で、これを超える恐怖を覚える作品はない。すでに10回以上は観ているけれど、久しぶりにその恐怖を体験した。
そして思った。世界情勢が緊迫しているいまだからこそ、この映画を大勢の人が見るべきだと。
2022年 映画#163
『プラトーン』(原題:Platoon)という1986年のアメリカ映画。ベトナム戦争をテーマにした作品で、ボクはこれほどリアルに描かれているベトナム戦争の映画を他に観たことがない。自身がベトナム戦争に従軍したオリバー・ストーン監督だからこその作品だと思う。
有名な作品なのであえてストーリーは割愛する。とにかくここに描かれているのは戦争がもたらす悪意と恐怖。
アメリカ軍による無抵抗の民間ベトナム人に対する虐待・放火・虐殺・強姦、米兵に広がる麻薬汚染、仲間内での殺人、誤爆、同士討ちなどが克明に描かれている。だから観終わって気分がよくなる映画ではない。むしろ恐怖と怒りでムカムカしてくる。
でもこれが戦争。先日もロシアの訓練所で仲間の兵を銃殺するとう事件があった。訓練中の事故だけれど、戦闘機がロシアの住宅に落下して15人もの人が亡くなっている。ウクライナに侵攻したロシア兵による戦争犯罪も報告されていて、虐殺や強姦が起きている可能性が高い。でもやはりこれが戦争。
もし中国が台湾に武力介入したら、ウクライナと同じようなことが起きる。そして日本だって対応を迫られる。侵略者に話し合いなど通用しない。北朝鮮が核兵器を開発しているのは、アメリカや韓国に対抗するためだけではない。
北朝鮮が潜在的に恐れているのは中国らしい。いまは対アメリカということでバックアップしてくれているけれど、状況によっては中国が北朝鮮を侵略することも想定している。だから金正恩は核兵器の開発を急いている、という説には強い説得力を感じる。
この映画の楽しみも紹介しておこう。とにかく出演者がまだ無名で若い。チャーリー・シーンが主役で、味方の上官役がウィレム・デフォー。一方対立する側の上官はトム・ベレンジャーで、これまたいまの姿が想像できないほど若い。
いまは売れている俳優としてはフォレスト・ウィテカーの演技も印象に残っている。キース・デイヴィッドもいい演技を見せてくれているよなぁ。驚くのはまだブレイクしていないジョニー・デップがチョイ役で出演していること。よほど意識して観ないとわからない。
ボクはこの映画を見たあと、以前は続けてある作品を観ていた。二つの作品の対比が面白いから。
この映画ではチャーリー・シーンとトム・ベレンジャーが、同じ米軍兵士でありながら殺し合う。ところがこの映画の3年後に二人は共演している。『メジャーリーグ』という映画で、チャーリー・シーンがピッチャー、そしてトム・ベレンジャーがキャッチャーという役どころ。
この映画はコメディで、野球好きの人なら感動で号泣するはず。特にトム・ベレンジャーが最高にかっこいい。恋人役のレネ・ルッソもめちゃキュートだしね..
20代のころは『プラトーン』と『メジャーリーグ』という作品を二本立てで観ていた。俳優というのはすごい仕事だなぁと、この2本を同時に見ると実感できるよ。
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