ゾンビで眠くなるなんて
今日の午前中、久しぶりに鼻炎になった。しばらく我慢したすえ、諦めて薬を飲んだ。よく効くんだけれど、睡眠導入剤なみに眠くなってしまう。
そこで午後の映画は、眠くならない作品をチョイスした。フランスで作られたゾンビ映画。冷やかしだけれど今年になってフランス語を勉強しているので、耳の訓練にもちょうどいい。ところがそのゾンビ映画は眠気を吹っ飛ばしてくれなかった。
2022年 映画#169
『リビング・デッド・サバイバー』(原題:原題:The Night Eats the World)という2018年のフランス映画。眠気を吹き飛ばすために選んだゾンビ映画なのに、まるで子守唄のように眠気を誘う内容だった。つまり怖くないし、ストーリー展開も地蔵のように動かない。さすがフランス映画やわぁwww
主人公のサムはあるマンションで行われているパーティ会場にやってくる。元カノが新しい恋人と暮らしている部屋で、大勢の人がダンス曲に合わせて踊りまくっている。サムの目的は自分の私物を取りに来ただけ。彼女の荷物に混じって運ばれてしまったから。
パーティーの接待で忙しい元カノなので、サムは広いマンションをひとりで探し回る。そしてようやく自分の私物を見つけたとき、うっかり眠り込んでしまった。人づきあいが苦手で、引きこもりのサム。だから人から逃げているうちに朝になってしまった。
驚いて部屋を出るとマンションは地の海。誰かに声をかけようとする複数のソンビが襲いかかってきた。たった一晩でほとんどの人がゾンビになってしまった。とてつもない感染力。なぜゾンビになったのか、そしてなぜ一晩で誰もがゾンビになったかの説明はない。
つまり一人残されたサムが、減っていく食糧や水に苦労しながら、マンションにこもってサバイバルするというだけの映画。映画の後半で唯一の生存者だったサラと出会うけれど、結局は彼女も死んでしまう。ラストは追い詰められたサムが、屋上から脱出するというエンディング。
とにかく物語の進展がなくてひたすら眠い。ゾンビもあまり出てこない。先ほどの写真の場面なんて、かなり珍しい映像。引きこもりのサムだから、あまり一人が苦痛じゃない。それでもゾンビに囲まれていると、一時的に発狂しそうになったりもする。
この作品はゾンビ映画だと思って見ていると、ただ腹が立つだけの作品だろう。ハリウッドのソンビ映画を期待した人だったら、呆れて感想の言葉さえ出てこないはず。それほどゾンビ映画としては最悪。
好意的に見るとすれば、これは人間の孤独からの脱却をテーマにした作品だといえる。他人との接触が苦手で、引きこもりのサム。そんな彼にとって、普通に社会で過ごしている人たちはゾンビと同じ。だからサムは自宅に引きこもっていたのだろう。
サムにとっては社会にでるということは、ゾンビの集団のなかに飛び込んでいくようなもの。ラストで彼が勇気を出してマンションを脱出するのは、サムが社会復帰をすることを象徴しているんだと思う。人間関係の複雑さをゾンビに例えた物語なんだと思う。あくまでも好意的に歩み寄ればね。
結局、映画を見終わってから昼寝した。やっぱりゾンビ映画はハリウッドに任せたほうがいいと思うなぁ。
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