頭の良い人ほど落ちる罠
ここのところ話題になっていた統一教会に関する騒動を見ていて、ちょっと感じたことがある。統一教会の教義にくわしいわけじゃないけれど、見聞きする情報だけでもかなり異質な宗派だとわかる。ある意味カルト的な要素が強いと思う。
なのに統一教会の広報的な立場で話している人を見ていると、頭の良い人だなと感じる。まぁ大きな宗教組織だから、頭脳明晰でないと幹部としてやっていけないのだろう。でもどう見ても教養のあるような人が、なぜカルト的な宗教の信者になってしまうのか?
そういえばオウム真理教の幹部も、偏差値の高い大学の学生が多かった。勉強もよくできて、社会問題も熟知していそうなのに、なぜだかカルト的宗教にハマっている。その答えがIQの高さにあるという研究結果が興味深い。
リンク先の記事では、アメリカのイェール大学の研究者による調査が最初に紹介されていた。アメリカ人の場合は民主党と共和党の支持者に2分される。そこで政治的見解と気候変動に関する考え方を調査した。
「近年の地球温暖化の主な原因が、化石燃料の燃焼などの人間活動であることを示す確かな証拠がある」という一般的に知られている見解がある。それゆえ脱炭素という動きが世界で起きている。
民主党支持者であるリベラルの人は、この見解に好意的な姿勢を見せる。ところが保守的な共和党支持者はその割合が減る。政治的方針として、石油関連企業とのつながりがあるからだろう。
面白いのはそうした科学的な見解に対する、 IQによる意見のちがい。科学的知性が最低だと判断されているレベルの人たちの場合、リベラルか保守かに関係なく、「地球温暖化は人為的なものである」と33%の人が信じていた。そこに政治信条による差はない。
ところが科学的知性が最高レベルの人たちの場合、『「地球温暖化の原因が人為的だ」と信じる人の割合はリベラル派がほぼ100%に達したのに対し、保守派では20%にまで低下した』という結果が出て、完璧に意見が二極化している。つまり政治信条に大きな影響を受けているということ。言葉を変えれば、知能の高い人は騙されやすいということになる。
IQの高い人がイデオロギー的に影響のないことについて考察するとき、科学的な思考法で適切に判断できる。ところが主観が介入するイデオロギー的な要素が加わると、急に意見が二極化してしまうという結果が出た。
リンク先の記事の著者によると、『人は「自分は客観的だ」と強く思うほど、自らの直感や意見が現実を正確に表していると信じるようになり、それを疑うことに抵抗を覚える』とのこと。高い知能と客観性に『信条』という主観的要素が加わることで、主観と客観が入り混ざってしまうのかもしれない。そして自分の信じていることが絶対的だと思い込んでしまう。
IQが高い人たちは自己肯定感の強い人たちなので、自分の主観でさえ全ての人にとって絶対的に正しいと思い込んでしまうのだろう。逆に自分に自信のない人ほど、自分の見解が正しいかどうかについて慎重になるんだと思う。
オウムの信者に高学歴の人が多かったことに納得。やたらIQが高いことで騙されやすかったのかも。真に頭の良い人というのは、客観と主観のバランスがうまく調整できる人なのだろう。他人よりIQが高いことで苦労する場合もあるんだね。まぁ、ボクには縁のない話だなぁ。
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