最恐の『吾妻鏡』だったかも
毎週楽しみにしている『鎌倉殿の13人』も最終回が近づいてきた。前半とちがってダークサイドに落ちた北条義時がとてもいい。鬼気迫る小栗旬さんの演技を毎週楽しみにしている。
このドラマをより深く理解するため、『平家物語』の現代語訳、アニメの『平家物語』、吉川英治さんの『新・平家物語』を読んだ。『新・平家物語』はとてつもなく長い作品なので、まだ平清盛が病没したあたり。毎朝少しずつしか読んでいないので、この作品を読了するのは余裕で来年になると思う。
そしてドラマの時代をより深くできるように、鎌倉幕府の公式記録書である『吾妻鏡』の現代語訳も読み進めている。今回で第7巻になるけれど、これまで読んだ『吾妻鏡』のなかでもっともドラマチックで、かつ最恐だったかもしれない。そしてもうすぐテレビドラマに追いつく。
2022年 読書#110
『現代語訳 吾妻鏡7 頼家と実朝』五味文彦・本郷和人 編という本。今回は建仁元年(1201年)〜建保元年(1213)の記録が掲載されている。最初にも書いたように、この第7巻は盛りだくさん。12年という歳月もあるし、ドラマでも義時の暗黒面が明らかとなっていく時期。ざっと事件をあげるだけでその怖さがわかる。
・比企能員の変
・二代将軍源頼家の伊豆追放と誅殺
・畠山重忠の乱
・初代執権である北条時政の伊豆追放
・和田合戦
この5つを見るだけで、ドラマを見ている人はこの第7巻の恐ろしさがわかるはず。それぞれについての説明は省く。とにかくこの5つの事件によって、鎌倉幕府の御家人を統率するのは北条氏となった。それゆえ京都の後鳥羽上皇から義時は疎まれることになる。
『吾妻鏡』は記録書なので淡々と書かれている。それでも戦争の場面はリアルに書かれていて、ドラマで見たばかりなので恐ろしい映像が目に浮かんできた。謀反の冤罪を受けた畠山重忠の首を見た義時が、父親の時政に食ってかかる場面には泣きそうになった。義時は本当に重忠が好きだったのだろう。
といっても『吾妻鏡』は北条氏のために書かれたもの。特に御成敗式目を制定した北条泰時を神のように崇めているから、その父である北条義時には甘い。だから義時の立場に関しては、あえて好意的に書かれているだろうと思う。
もっとも多くの紙面を費やされていたのは、和田義盛を滅ぼした和田合戦の場面。鎌倉幕府が始まってから、初めて鎌倉の街で起きた戦争。それだけに謀反を起こした和田義盛が討ち取られるまでの記述は、かなり生々しく詳細に記されていた。
さていよいよドラマに追いつく。『吾妻鏡』の第8巻は『承久の乱』となっている。ドラマでも最後のクライマックスになる戦だろう。明日のドラマは3代将軍である実朝の暗殺で、承久の乱へとつながっていく。そして『吾妻鏡』も同じ道をたどることになる。
ここで来てドラマで興味深いのは、山本耕史さんが演じる三浦義村。ボクが知っている史実では、彼の行動が承久の乱の勝敗に大きく影響してくる。ドラマでも、そして『吾妻鏡』でも、この先の三浦義村の行動に注目したいと思っている。
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