1年の始まりは神話から
毎年のことだけれど、我が家の年末年始はいつも同じ。大晦日でも午後10時には消灯。夜中に近所のお寺の除夜の鐘で目が覚めたものの、気がついたら新年になっていた。元旦は午前6時台に起きて、いつもと同じ朝食。そしていつもと同じように掃除をする。それが365日続いている。だけど元旦なので、そこからはいつもとちがう。
お昼にお雑煮や正月料理の用意をして、日本酒を飲みながらのんびりと過ごす。豪華なお節料理じゃないけれど、好きなものばかりを集めたご馳走。お腹がいっぱいになり過ぎて、午後からはぐっすりと昼寝をしてしまった。
さてそんな年末年始にぴったりの物語を読んでいる。世界の始まりを記した神話のような作品で、ボクにとって最高の1年の始まりになりそう。
2022年 読書#122
『シルマリルの物語』上巻 J・R・R・トールキン著という小説。昨年の末にブログで書いていたとおり、神戸の図書館が今月いっぱいは休館する。大幅なシステム変更のため。それで長期間の貸し出しが可能となったので、『指輪物語』関連のトールキン作品を読み通すことにした。昨日に読了したので、カウントは2022年になっている。
「トールキン」オタクのボクは過去に何度も読んでいるので、目新しい物語ではない。だけど一気に通読するのは初めての試み。だから妙にワクワクしている。ボクが以前所有していたこの作品の新版は1冊にまとめられていた。でも最初に出版された作品は上下巻に分冊されている。
映画化された『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』を観ていない人、あるいは原作を読んだことがない人には、この本はとっつきにいくはず。トールキンが生前に物語として完成した作品ではなく、彼の死後に息子が遺稿を集めて出版したものだから。
だけどこのシリーズのファンにとっては、何度も読み込んで理解したい内容が網羅されている。最初に書いたように、これはトールキンが創作した神話だと言っていい。『指輪物語』の舞台は中つ国(ミドルアース)という場所。もちろん地球ということになっている。
その中つ国ができるときの物語から始まる。つまり日本で言えば『古事記』のような内容。唯一神として存在するのはイルーヴァタールという名前。彼(彼女?)は、アイヌアという種族を作った。このアイヌアが山や海、川や大地を創造した。
その代表がマンウェとメルコールという兄弟。やがてメルコールはイルーヴァタールに逆らうようになり、キリスト教でいうところの堕天使になる。名前をモルゴスと変えて、冥王として悪の世界を支配するようになる。
イルーヴァタールが創造した神の子がエルフと人間。ここからこの壮大な物語が始まる。最初に中つ国で生まれたのはエルフ。彼らは永遠の命を持ち、アイヌアたちが創造した西の海の果てにあるアマンで暮らすことになった。多くのエルフがアマンへ移住したが、一部の部族は中つ国に残った。
ところが移住したエルフに大事件が起きる。アマンで光を照らしていた2本の木がある。その光をエルフのフェアノールという人物がシルマリルという宝玉に閉じ込めることができた。ところがその光を欲したモルゴスによって、シルマリルが奪われてしまう。モルゴスはそのまま中つ国へ逃走した。
そこでフェアノールの属するノルドールの一族は、アイヌアの制止を無視して中つ国へと戻る。そしてエルフたちとモルゴスたちとの壮絶な戦いが始まった。それゆえこの作品は『シルマリルの物語』と名付けられている。
これは概要なので、物語の全体については下巻の感想とまとめて書くつもり。映画しか観たことない人は、エルフに対するイメージが180度変わると思う。映画では正義の象徴のようなエルフ。だけど彼らには血の歴史があった。そしてその災いは、イルーヴァタールの次男として中つ国に誕生した人間を巻き込んでいくことになる。久しぶりに壮大な世界に触れて、正月から意識がぶっ飛んでいるなぁ。
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