映画限定の過剰な演出
10年に1度の寒波ということで、JR西日本は昨晩からの混乱が続いているみたい。神戸も最低気温が−2.9度、最高気温が2.9度を記録している。それでも比較的晴れていたので、夕方には雪が消えてしまった。朝起きたときはこんな様子だった。
この写真を来年になって見たら、あの日は寒かったなぁと思い出すのだろう。ちょうど同じ日の2018年のブログを見ると、マンションの水景が完全に凍っていた。おそらく2018年のときの方が強い寒波だったと思われる。もう忘れたけれどねwww
さて月末が近づいてきて、年末年始の読書駅伝も最終区のアンカーが近づいてきた。全12冊のうち、昨日で10冊目を読了した。残すところは2冊になった。
2023年 読書#10
『新版 指輪物語7 二つの塔 下』J・R・R・トールキン著という小説。前作についての感想は『負け戦を救う異世界の助っ人』という記事に書いているので参照を。
前作は映画の『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』における、ガンダルフやアラゴルンの活躍が中心に書かれていた。物語としては映画では最終作となる『王の帰還』の冒頭まで書かれていた。
そして今回は同じ『二つの塔』におけるフロドとサムの行動を追いかけた内容。この物語に関しても、ラストは映画の『王の帰還』での冒頭部分まで書かれている。いつもと同じく、映画しか知らない人のために原作特有の内容を紹介しておこう。
フロドとサムがゴラムと出会い、モルドールへと向かう。のちにサムも指輪を手にすることになるので、この3人は力の指輪の影響を受けてしまう。そして最初の旅の仲間だったボロミアの弟であるファラミアに出会う。ボクの大好きなキャラ。ファラミアの助けを得て、フロドたちはいよいよモルドールの内部へと侵入する。大雑把な展開は映画と同じ。
だけど原作は大きく分けて2つのことがちがう。まずはファラミアに関するもの。映画のファラミアはフロドが指輪を持っていることを知って、兄のボロミアと同じようにゴンドール国へ連れて行こうとする。戦闘の最前線であるオスギリアスまでフロドたちを連行して、そこで恐ろしいナズクルの攻撃を受けたことで、ファラミアは改心してフロドたちを解放する。
でも原作のファラミアはちがう。彼は力の指輪の誘惑に打ち勝ち、フロドたちを拘束することなく送り出している。秘密の隠れ場所で安全を確保して、翌日には食料まで持たせた。ファラミアの本質は原作のキャラだと思う。彼はヌメノールの血を引いていて、未来では新しい王となるアラゴルンに仕える執政となるんだからね。
もう一つのちがいはフロドとサムの関係。モルドールに潜入したとき、映画ではゴラムの策略によってフロドとサムは仲違いさせられる。サムが指輪を狙っていると思いこまされたフロドは、サムを追い返してしまう。そんなサムは途中まで帰る。だけど引き返して、巨大毒蜘蛛のシェロブに襲われたフロドを助ける。
だけど原作の二人はケンカなどしない。フロドはサムを疑わないし、サムもフロドから離れない。シェロブに待ち伏せされて、フロドが襲われるのを防げなかっただけ。二人の絆はずっと深かった。
ファラミアもサムも、映画では力の指輪の魔力を強調するために過剰な演出となっている。まぁ、映像的にはそのほうがわかりやすいからだろう。でもこの物語を全体として見た場合、原作どおりの設定のほうが適切だとボクは思う。
さて、いよいよ物語はクライマックスへ。残り2冊の冒険をじっくりと楽しもう。
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