ドローン攻撃の功罪
間もなくロシアがウクライナへ理不尽な侵攻を仕掛けて1年となる。今日になってアメリカのバイデン大統領がキーウを緊急訪問したのは、世界中の人にロシアの蛮行を思い出してもらう意味もあるからだろう。要請されているのに、ちっとも動こうとしないどこかの首相もいるけれど。
そんなウクライナ戦争において、目立つのがドローンによる無人機の攻撃。湾岸戦争の時期とは、攻撃方法が大きく変わってきている。ただドローンを操作する空軍の軍人たちは、想像を超えるストレスを抱えているそう。
『ドローン・オブ・ウォー』という映画を観れば、彼らが抱えている苦悩の一端を知ることができる。攻撃している自分は安全な場所でドローンを操作しているだけ。なのに人間の命を奪ってしまう。その極端なギャップに、神経が参ってしまう人が大勢いるそう。
そうしたドローン攻撃による現実が、少し前のドラマでも克明に描かれていた。
2023年 映画#31
『トム・クランシー/ CIA分析官 ジャック・ライアン』(原題:Tom Clancy’s Jack Ryan)・シーズン1:エピソード3『ブラック22』という2018年のアメリカドラマ。前作の感想については『なんて巧妙な不正資金』という記事に書いているので参照を。
最近になって観始めたジャック・ライアンのドラマ。最新作はシーズン3なので、まだまだ先は長い。とにかく主演のジョン・クラシンスキーが好き過ぎて、いつまでも観ていたくなるドラマ。
今回も逃亡したテロリストのスレイマンを必死で探すジャック。前回はテロに使うであろう資金の不正送金アジトを発見。だけどスレイマンの弟を見つけた途端に女性が自爆テロを決行。それでスレイマンの弟は逃げてしまった。ジャックたちはフランス治安総局の力を借りてその行方を追う。
一方、スレイマンは自宅に戻って怪しい仲間と密談を繰り返している。そんな夫の行動に不審を持った妻のハニンは、二人の娘を連れて逃げ出すことを考える。このままだと自分も娘も、夫の仲間たちにレイプされそうな状況だったから。
そこで関わってくるのが先ほどのドローン攻撃。ラスベガスに暮らすドローンパイロットのビクターは、この仕事のストレスで苦しんでいた。つい先日も、ある容疑者をドローンの攻撃で殺害した。そんなおり、ドローンの映像でやばい事態を目撃する。
それは逃亡したスレイマンの妻のハニンと二人の娘が拉致される場面だった。ビクターがチェックすると、ハニンを襲っている男はCIAのターゲットになっている人物だった。それで攻撃することを上司に申請するが、上司は認めない。幹部に確認するとのこと。
そうしている間に娘の二人は車に閉じ込められた。そしたハニンは男に連れて行かれて、レイプされようとしていた。上司の命令を待てないビクターは、自分の判断でその男を攻撃してハニンを救う。上司から軍律違反で解任すると言われても、攻撃をやめなかった。
結果としてハニンと二人の娘は逃亡に成功。そして幹部から攻撃命令が出たことで、ビクターもお咎めなしだった。それまでストレスまみれだったビクターが、ようやく自分の仕事に満足してホッとした笑顔を見せた。ドラマとはいえ、緊迫感のある映像にハラハラしっぱなしだった。
ドローン攻撃の功罪がリアルに描かれたドラマのシーンだった。おそらくこんな出来事が、ウクライナでは実際に起きているのだろう。1日でも早くロシア軍がウクライナから撤退することを願っている。
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