ストックホルム症候群の語源
文章を書いていると、ふと言葉の語源が気になることがある。そのときすぐ丹念に調べると、言葉に対する理解と知識が深まるんだと思う。ただそう思うだけで、なかなか時間を割くことができないのが現実。
ストックホルム症候群という言葉がある。精神的な症状を指す言葉。人質になったり誘拐された人が、犯人と過ごしているうちに犯罪者に対して好感を持ってしまうというもの。だから犯人が逮捕されて解放されても、犯人の不利となる証言を拒んだりする。そのまま本気で犯人を好きになってしまう場合もあるらしい。
そんなストックホルム症候群の語源となったのが、1973年にスウェーデンのストックホルムで起きた事件だった。なんとなく知っていたけれど、その事件を映画化した作品を観て詳細を理解することができた。
2023年 映画#40
『ストックホルム・ケース』(原題:Stockholm)という2018年のアメリカ・カナダの合作映画。実話の映画化といっても、そこはハリウッド。実際の事件はノルマルム広場強盗事件というもの。人質をとった銀行強盗というのは同じ。現金だけでなく、服役中の仲間の釈放を要求したのも同じ。
だけど映画では名前を変えてあるし、かつ事件の展開もかなり脚色されている。どちらかといえばコメディ映画の要素が前面に出されていて、まさにハリウッド映画という内容だった。それでもストックホルム症候群の由来を十分に感じられる作品だったと思う、
主犯はラースという男で、演じてるのはイーサン・ホーク。この作品におけるイーサンの演技は秀逸。ぶっ飛びキャラを完璧に演じていたし、慌てふためく様子に何度も本気で笑った。さらにこのラースに惚れる人質がいい。女性銀行員のビアンカで、演じているのはノオミ・ラパスというスウェーデン出身の女優。
ボクは彼女の大ファン。『ミレニアム・ドラゴンタトゥーの女』という3部作で、リスベットという主役を演じた俳優。他のハリウッド女優もリスベットを演じているけれど、彼女に勝るリスベットはいない。今回は冷静な雰囲気の銀行員を見事に演じていた。
いわゆるドタバタ劇的な内容で、これが現実に起きたことに驚くほど。とにかくラースという犯人がいい。見た目や言っていることは狂人っぽい。だけけど本当はとてもいい奴で、人を殺すことを極端に嫌っている。だから死人が出ないように必死だし、銃を撃って警察官を傷つけたときは、本気で落ち込んでいた。
それだけにビアンカという女性が、このラースに好感を持つのがわかる。ストックホルム症候群の影響もあるんだろうけれど、ラースの人間的な魅力も大きな要素だったと思うなぁ。死人は出ないし、結構笑えるし、最初から最後まで楽しめる作品だった。
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