同時刻に2箇所にいた容疑者
寒の戻りの底を迎えた今日の神戸。最低気温が4.7度だったので真冬のような朝だった。最高気温もなんとか10度を超えた程度で、咲きかけた桜は冷たい空気に驚いているだろう。でも明日からは少しずつ気温が上がるようなので、関西では週末がお花見日和になりそう。
今日は月末恒例となった水回りのプチ大掃除を済ませた。今年は引っ越しを検討しているので、毎月やっているこの掃除も気合が入る。定期的に綺麗にしておけば、いつでも今のマンションを売りに出せるからね。
明日から新年度になるけれど、今のところ希望の部屋の空室はない。選択肢は可能な限り広げているけれど、かと言って基本的な希望を変えるつもりもない。今の段階でやれることをやりつつ、運命の部屋との出会いを待とうと思っている。
さて、これぞスティーブン・キングという小説を読んだ。70代後半になった著者だけれど、まだまだ斬新なホラー作品を書いている。
2025年 読書#34
『アウトサイダー』上巻 スティーブン・キング著という小説。
4年前に邦訳が出版された比較的新しい作品。二段書きで上下巻というかなりの長編。この上巻ではまだ物語の核心に触れていないのでネタバレは心配ないだろう。いつもながら恐ろしい描写が続く物語。特にこの作品は設定が秀逸で続きが気になって仕方ない。
11歳の少年が惨殺された。その方法はブログで書けないおぞましい内容。逮捕されたのはテリーというリトルリーグやフットボールのコーチをしている男性で、職業は高校の教師。
殺人現場でテリーの指紋や聖液が見つかり、全てテリーのものだと確認された。事件の前後にテリーを見たという目撃証言も多数あって、刑事のアンダーソンはテリーを逮捕した。凶悪な事件なので、街の住人はテリーに憎悪の視線や言葉を投げつけた。
ところがテリーには完璧なアリバイがあった。事件があった時刻には別の街にいたことが、高校教師の同僚によって証言されている。それどころかテリーが参加した有名作家の講演会がテレビ中継されていた。その会場で著者に質問しているテリーがはっきりと映っていた。さらにテリーがその時刻に別の街にいたという証拠となる指紋も採取された。
つまり指紋もDNAも同じ人間が、同時刻に別の場所にいたことになる。もちろんテリーに双子の兄弟はいない。この奇妙な謎が、この物語の上巻で読者に投げかけられている。まるでジキルとハイドが別の場所に同時に存在していたという雰囲気。
逮捕されたテリーが裁判所に移送されたとき、殺人の被害者だった兄に射殺されてしまう。容疑者が死亡したままで事件は幕引きされようとしていた。ところが刑事のアンダーソンは納得がいかない。テリーが犯人だという気持ちと、そうではないという想いが複雑に拮抗していた。
最終的にアンダーソンは、テリーの顧問弁護士、さらにテリーの妻と協力することで、この事件の真相を突きとめようとする。そんな時、テリーの娘に謎の男が接触してきた。見た目は父親のテリーとそっくり。でも娘にすればパパではないとのこと。
その男は刑事のアンダーソンの名前を出し、これ以上この事件に関わらないように警告した。取り返しのつかないことになると。でもアンダーソンはその警告に耳を貸さず真相を追いかけようとする。
ここで登場するのが、著者の過去の小説で登場した私立探偵。『ビル・ホッジス三部作』に登場したホリーという女性探偵が関わってくる。スティーブン・キングのファンとしては最高に楽しい展開。さて下巻はどうなるのか? この事件の真相を想像しながら、下巻を楽しみにしよう。
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