名言の真実
井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の深さを知る。
柔よく剛を制す。剛よく柔を断つ。
地球は青かった。しかし、どこを見回しても神はいなかった。
良く知られている言葉ではあるが、有名なのは前半だけだ。名言として知られる言葉であっても、ヒトは耳障りの良いものだけを切り取って伝えていくのかもしれない。
ただし井の中の蛙については、本来は前半だけが原典(荘子)にあり、後半は日本人が後から付け足したものだという。もしかしたら鎖国状態にあって世界の広さに吃驚した明治時代の人たちが悔し紛れに考え出したのかもしれないし、「広く浅い」知識への警笛として考え出されたものかもしれない。
柔よく剛を制すについては、まさに日本人の好みといったところだろう。義経と弁慶の例を持ち出すまでもなく、小さいものが技を使って大男を倒すようなシーンにきまって、日本人は心を奪われる。
ガガーリンの言葉については、かなり意訳されているようで、また本当はこの二つを連続して発言したわけではない。後半はモスクワ総主教に「宇宙にいたとき、神は見えたか?」と尋ねられ、ガガーリンは「見えませんでした」と答えた。そして総主教は「見えなかったことは、自分の胸だけにとどめておくように」と注意したというエピソードが基になっているようだ。(wikipediaより)
何が言いたいかというと、これだけ有名な言葉であっても、すべてが正しく伝えられているとは限らないということ。言葉の解釈は受け取るものにとって変わり、聞き取るほうが都合のいいように解釈してしまうことは非常に多い。
表現するもの、伝えるものは、言葉のひとつひとつに気を遣い、誤解されないように伝えていく義務がある。