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ユニラテラル・エクササイズを採り入れよ!

手の指を曲げる筋力を測定するとき、一本ずつ測定してそれを合計したほうが、五本まとめて測定した場合よりも強くなっている。これは有名な話で、脳から筋肉に指令が行くときに、指令が分岐しないほうが意識が分散せず、有利だからだというのが簡単な説明となっています。(※1、※2、※3)
他にモーターユニットの活動抑制説もあります。(※4)
なお指ではなく、体肢におけるこれらの現象は「両側性機能低下」と呼ばれます。ちなみに反応時間も両側の場合、片方だけに比べると遅くなってしまうのです。

ただしこれは若い男性の場合はあまり差が出ず、高齢者や女性の場合のほうが差は大きくでるようです。これは神経系の発達度によるものでしょう。(※5、※6、※7)

実際にエクササイズを行ううえでは、神経系の他にスタビライザーの関係もあって、多くの場合において片方ずつのトレーニングのほうが高重量を扱えるようです。ワンハンドロウやダンベルカール、ショルダープレスなどが代表的な例です。

そしてここでも「特異性の原則」が関係してきます。両方を同時に行うバイラテラルでのトレーニングだと、片方ずつ行うユニラテラルの筋力向上&筋肥大が起こりにくいのです。
逆に片方ずつ行うユニラテラルのトレーニングを行っていると、バイラテラルエクササイズでの筋力も向上し、筋肥大も同等に起こります。(※8)

多くの競技において、両腕や両脚を同時・同方向に動かすということは、あまりありません。片腕や片脚ずつの動きのほうが圧倒的に多いはずです。
ですから例えばスクワットは非常に良いエクササイズですが、それだけではいけません。片脚ずつ行うブルガリアンスクワットやランジなども、必ずプログラムに採り入れるようにする必要があるのです。

筋肥大を狙う場合も、ユニラテラルの動きは体幹部を傾けたり(インクラインサイドレイズなど)、逆の手で体幹部を支えたり(ワンハンドロウなど)することが可能となり、バイラテラルでのエクササイズとは一味違った「効き」を感じることができます。
これまでやったことのない方は、ユニラテラルのエクササイズをぜひ採り入れるようにしてみてください。


※1:
Simultaneous vs. Separate Bilateral Muscular Contractions in Relation to Neural Overflow Theory and Neuromoter Specificity
Research Quarterly. American Association for Health, Physical Education and Recreation Volume 32, Issue1, 1961

※2:
Movement-related cortical potentials during handgrip contractions with special reference to force and electromyogram bilateral deficit.
Eur J Appl Physiol Occup Physiol. 1995;72(1-2):1-5

※3:
Changes in strength, speed and reaction time induced by simultaneous bilateral muscle activity. Interlimb Coordination:
Neural, Dynamic And Cognitive Constraints. swinen s. p., heurer m., massion j., casaer p., editors. San Diego: Academic; 259-274

※4:
Comparison of motor unit activation during unilateral and bilateral leg extension.
J Appl Physiol Respir Environ Exerc Physiol. 1984 Jan;56(1):46-51.

※5:
Comparison of maximal unilateral versus bilateral voluntary contraction force.
Eur J Appl Physiol. 2011 Aug;111(8):1571-8. doi: 10.1007/s00421-010-1775-1. Epub 2010 Dec 28.

※6:
Neuromuscular drive and force production are not altered during bilateral contractions.
J Appl Physiol (1985). 1998 Jan;84(1):200-6.

※7:
Bilateral and unilateral neuromuscular function and muscle cross-sectional area in middle-aged and elderly men and women.
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 1996 Jan;51(1):B21-9.

※8:
Neuromuscular Adaptations to Unilateral vs. Bilateral Strength Training in Women.
J Strength Cond Res. 2015 Aug 29.

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山本義徳|やまもとよしのり(ボディビルダー)プロフィール

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山本義徳(やまもとよしのり)
生年月日:1969年3月25日
血液型:A型
出身地:静岡県

【経歴】
1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
◆著書
・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
・サプリメント百科事典(辰巳出版)
・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
など30冊以上

◆指導実績
・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

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