チェスコンピューター
コンピューターにチェスを指させることはできないかというのは昔からのテーマでした。
その走りは「トルコ人」と呼ばれるロボットで、中に人間が入って指す一種の手品のようなものでした。
それから時は流れ、第2次世界大戦後のコンピューター開発の流れに乗ってチェスのプログラムも飛躍的に進歩してきました。
それでも人間のチャンピオンが負けることはないと信じられていましたが、1997年に史上最強のプレイヤーといわれるカスパロフ氏がIBM社の開発したディープブルーに敗北を喫したのはご存知の方も多いと思います。
このときは、まだ本当に人間が抜かれたわけではなく、たまたまカスパロフ氏の調子が万全ではなかっただけと私は思っています。実際、マッチの裏側では、コンピューターの思考記録のプリントアウトをめぐる熾烈な駆け引きがあったそうです。
それからさらに時は流れ、現在はどうかと言うと・・・
残念ながらコンピューターが人間を圧倒しています。コンピューターは駒を犠牲にするのが苦手だったのですが、その弱点も克服し、より人間らしい手を短時間で見つけられるようになった上に、ケアレスミスが出ないので、1試合のうちで細かいミスが出てしまう人間ではもはや太刀打ちできないのです。実際、トッププレイヤーがどのくらいのハンディキャップをもらうのが妥当かということが真剣に議論されるくらいです。
話はそれますが、センサーで駒の位置を把握して、完全自動でチェスをさせるロボットアームも登場しています。
とここまで話すと、チェスを競技として続ける意味がないといわれることが多いですが、私はそうではないと思っています。
だって、車などの移動手段が発達しても陸上競技はなくならないじゃないですか!!!
昔はそうは思えなかったのですが、最近は人間同士の心理的な駆け引きも含めた盤上での勝負こそがチェスの一番の醍醐味だと感じています。