■食べ切れない生菓子
近所にたびたびおすそ分けを配っているMさん。中学生の娘さんを持つ専業主婦です。「みなさん『いつももらってばかりでごめんなさい』と言ってくれるんですが、私は私で助かっているんですよ。」
「夫のお母さんが、いつもたくさんお菓子を送ってきてくれるんです。今回は日持ちしない和菓子を送ってきてくれました。賞味期限も近づいていて、食べ切れないともったいないので。頂いてもらえるのは、私も本当に助かっているんです。」
3人家族の家に、20個入りの和菓子と10個入りの洋菓子が届きました。賞味期限はあと1週間。食べ切れないほどでもないと思いますが、Mさんはご近所に配っていました。
■迷惑じゃないから迷惑と言えない
「2週間に1度ぐらいのペースで義母から荷物が届きます。中に必ずお菓子を入れてくれています。それを食べ切る前に次のお菓子が届くんですよね。娘が幼稚園に入る前から義母からお菓子が届くようになりました。娘が『おばあちゃん、おいしかったよ』と電話をかけたんです。今、考えるとそれがきっかけだったのかな、と思います。」
「一度、義母に送るのをやめるようにお願いしようと考えたことがあります。義母に話す前に『やめてください』の理由は何かを考えました。食べ切れないのが理由です。でも迷惑なことではないんです。結局迷惑ではないので、義母にやめてほしいとは言えませんでした。」
「義母に電話をして『食べ切れなかったから、近所に配りました』と言ったんです。そしたら義母は『みなさん、喜んでいただけたかしら』と。みんな喜んでくれたんですよね。義母はうれしそうでした。そして今でもお菓子が届いています。」
あの時、Mさんがお義母さんに抗議をしていたらどうでしょう。お義母さんはとても傷ついていたかもしれません。Mさんも言ってしまった後悔が残ったかしれません。Mさんがとった行動は、義母に正直に伝えるということでした。たったそれだけのことなのです。しかし、たったそれだけのことで誰も嫌な気分になる人がいなくなったのです。発する前に、本当に言いたいことは何か、少し考えてみるのも良いことです。
(ライタープロフィール)
クニヒロマリコ/映像の世界から文章の世界へ。『ぬか漬け』と『音楽』が大好物。毎年ぬか床に挑戦するもいまだに年を越したことがなく、家庭菜園にも楽しく挑戦中。夜な夜な「酒と夫と音楽と犬」をエンジョイする懲りないチャレンジ兼業主婦。
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