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◆ダイヤモンドブログ 最新映画情報「はやぶさ/HAYABUSA」10月1日(土)公開

『はやぶさ/HAYABUSA』

INTRODUCTION

〈はやぶさ〉奇跡の帰還のドラマはハリウッドをも動かした。
7年間、60億キロ――決してあきらめることなく、その旅を支え、見つめ続けた人々の感動の実話。

絶体絶命のピンチを何度も乗り越え、昨年6月に奇跡の帰還を果たした小惑星探査機〈はやぶさ〉。7年もの間、〈はやぶさ〉を支え続けた人々の知られざるドラマを、『20世紀少年』シリーズの堤幸彦監督が、竹内結子、西田敏行を迎えて映画化。〈はやぶさ〉を我が子のように想い、満身創痍の〈はやぶさ〉を励ますスタッフたち――〈はやぶさ〉に励まされ、科学を志す者として、ひとりの人間として、成長を遂げていく主人公――それぞれの情熱がひとつになって、〈はやぶさ〉の偉業へとつながっていく様が描かれる。今、日本を勇気づける映画がここに誕生した!

2010年6月13日、〈はやぶさ〉奇跡の帰還に日本中が歓喜し、そして、大気圏で燃え尽きる〈はやぶさ〉の姿に涙した。NASAでさえも成功していない、月以外の小惑星のサンプルを持ち帰るというミッションを成し遂げた〈はやぶさ〉の快挙は、ハリウッドのメジャースタジオをも動かし、世界配給を視野に入れた一大プロジェクトとして製作されたのが、20世紀フォックス映画の『はやぶさ/HAYABUSA』なのである。

〈はやぶさ〉帰還のニュースは瞬く間に日本中を駆け巡ったが、それまでの7年間、60億キロに及ぶ〈はやぶさ〉の旅を巡るエピソードはまだ一部しか知られていない。本作では、30人以上の関係者への取材に基づいて、通信途絶による行方不明やエンジン停止など、幾多の難局を乗り越えたプロジェクトチームの挑戦と苦闘の日々をドラマチックに描き出している。また、〈はやぶさ〉の波乱に満ちた旅と〈はやぶさ〉が見た深宇宙を最先端のVFXで再現し、観る者を壮大な旅へといざなう。

主人公の水沢恵を演じるのは竹内結子。宇宙科学研究所(現・JAXA 宇宙航空研究開発機構)のスタッフとして偉業の一端を担い、自らの生き方も見つめ直す研究生役を熱演。これまでのイメージを覆す変身ぶりで、女優としての新境地を見せる。恵を研究スタッフ兼広報要員としてスカウトするJAXA対外協力室室長の的場役に西田敏行。文部科学省や各地の漁協との交渉を一手に引き受ける重要人物を人情味溢れるキャラクターとして演じている。カメラ班のリーダーで恵の科学者としての素質を次第に認めていく熱血漢、坂上役を髙嶋政宏、〈はやぶさ〉プロジェクトの責任者、川渕役を佐野史郎、小惑星からサンプルを採取するミッションの担当者、田嶋役を山本耕史、〈はやぶさ〉に搭載しているイオンエンジンの担当責任者、喜多役を鶴見辰吾が演じている他、JAXAスタッフ役に市川実和子、甲本雅裕、マギー、高橋長英、文科省の官僚役に筧利夫、〈はやぶさ〉ファン役に生瀬勝久など、豪華キャストが集結した。

メガホンをとったのは、斬新な映像と語り口で観客を刺激し続ける堤幸彦監督。『20世紀少年』シリーズ、『トリック劇場版』シリーズ、『明日の記憶』『BECK』などを手がけ、日本を代表するヒットメーカーである堤監督が、〈はやぶさ〉プロジェクトを映画として生まれ変わらせるというミッションに挑んだ。堤監督は、関係者への取材や資料をもとに、実際の施設や運用の様子をリアルに再現。そして、運用に携わった人々の感情や奮闘ぶりに重きを置いた感動のドラマとして映画『はやぶさ/HAYABUSA』を完成させた。JAXA全面協力のもと、撮影には監修者が立ち会い、JAXA相模原キャンパスでのロケも敢行。その他にも、〈はやぶさ〉の持ち帰ったカプセルが着陸したオーストラリアのウーメラ砂漠、さらにはアメリカのNASAの施設など、海外でも撮影が行われた。

幾多の危機に直面しながらも、〈はやぶさ〉のスタッフはなぜ前に進み続けることができたのか?〈はやぶさ〉はなぜミッションを達成することができたのか?作品からあふれ出す「あきらめない」という強い想い、その原動力となった信念や夢、勇気と自信、そして圧倒的な感動が観る者を包み込む――。

※小惑星〈イトカワ〉までの直線距離は3億kmだが、〈はやぶさ〉は太陽を中心に周回しながら航行するため、往復60億kmに及ぶ旅となった。

『はやぶさ/HAYABUSA』

STORY

〈はやぶさ〉が見た深宇宙、60億キロの旅。
7年間、〈はやぶさ〉の帰還を信じて困難と闘い続けた人々のドラマがここにある。

2002年夏、古本屋でアルバイトをしている水沢恵(竹内結子)のもとに、一本の電話がかかってくる。聞き覚えのあるその声の主は、宇宙科学研究所(現・JAXA 宇宙航空研究開発機構)対外協力室室長の的場泰弘(西田敏行)。以前、聴きに行った講演で的場の講演内容に感動した恵は、帰り際の的場に感想や疑問を矢継ぎ早にぶつけたことがあった。その勢いと素養に興味を持った的場から、恵は相模原の宇宙科学研究所に来ないかと誘われるのだった。

恵は、小惑星探査機〈ミューゼスC〉のサイエンスマネージャーを務める萩原教授(高橋長英)の研究室に所属し、カメラチームの仕事と、的場のいる対外協力室の手伝いを掛け持ちすることになる。〈ミューゼスC〉チームでは、プロジェクトマネージャーの川渕(佐野史郎)を中心に、カメラチームを率いる坂上(髙嶋政宏)、サンプラー開発担当者の田嶋(山本耕史)、イオンエンジン開発担当責任者の喜多(鶴見辰吾)らが、世界的にも例のない“理工一体”のミッションに向けて、準備を進めていた。喜多は「これ1個だけ!これさえ入れておけば万一の時、探査機を救えるかもしれないんです!」と、重量や予算のことを気にするメーカー担当者に激しく詰め寄る。1985年の構想から17年、メンバーたちにとっては、人生の多くを懸けてきた悲願のプロジェクトだけに、皆熱い思いを抱いていた。

坂上に論文の翻訳を頼まれて徹夜する一方で、広報スタッフとして相談員の仕事を受け持った恵だが、見学に来た子供に専門用語を連発してしまい、“伝える”ことの難しさを痛感する。反省した恵は自らの発案で子供向けの解説書「ミューゼスC君の冒険日誌」を書き始める。

2003年5月、文科省の説得、打ち上げ候補地の漁業組合との交渉に奔走した的場の努力もかなって、鹿児島県の内之浦からの打ち上げが決定する。打ち上げ当日、田嶋が〈ミューゼスC〉にそっと話しかける。「君の名前が決まったよ。〈はやぶさ〉って言うんだ」。パブリックビューイングやインターネットの中継によって多くの人間が見守る中、〈はやぶさ〉は宇宙へと飛び立っていく。

12月9日、川渕は98年に打ち上げた火星探査機〈のぞみ〉の火星周回軌道への投入を断念する。恵は「あなたの名前を火星へ」キャンペーンに亡き兄の名前を応募していたことを的場たちに打ち明ける。宇宙の魅力を恵に教えてくれたのは、他でもない兄だった……。

2005年9月12日、小惑星〈イトカワ〉の上空に〈はやぶさ〉が到着。撮影に成功した〈イトカワ〉の写真を見て、坂上は涙ぐむ。居酒屋でお祝いをしながら、坂上はセンスはあるが実力を発揮できていない恵に「お前、なんで宇宙やってんだ? 兄貴のためか? 自分自身のためか?」と問いただす。しかし、恵はその質問に答えることができないのだった……。

11月20日、〈はやぶさ〉は〈イトカワ〉に不時着してしまう。理学的見地からサンプル採取のために着陸のやり直しを提案する田嶋、工学的見地から機体の損傷を心配して帰還させることを提案する喜多。判断を託された川渕は二度目の着陸を決意し、見事に成功する。

12月8日、イオンスラスターの故障と燃料漏れが発生し、姿勢を制御できなくなった〈はやぶさ〉は地球との通信を途絶してしまう。地球からはるか彼方、広大な宇宙空間で行方不明となってしまった〈はやぶさ〉……。これまでに行方不明になった探査機が見つかった例はない。管制室に暗澹たる空気が立ちこめる中、的場は文科省に赴き、官僚の矢吹(筧利夫)に事情を説明するのだった。

2006年1月23日、〈はやぶさ〉からの信号を奇跡的にキャッチすることに成功する。そして故障を免れたイオンエンジンを点火し、地球への帰還を目指すことになる。喜びに湧く恵たちだったが、臨時職員であった坂上の契約期間が切れ、プロジェクトを去ることが判明する。さらに、萩原教授も定年を迎えJAXAを去るのだった。

2008年春、〈はやぶさ〉が地球に向かっている間に論文を書いた恵だったが、学位授与不可通知が届く……。

2009年11月4日、イオンエンジンが故障。帰還が絶望視される。

中途半端な気持ちのまま科学者への道を歩むことに迷いを抱き始める恵。動力を失い、宇宙を彷徨うことになりかねない〈はやぶさ〉。チーム全員がそれぞれの危機に直面していた……。

『はやぶさ/HAYABUSA』

CAST & STAFF

【CAST】

水沢恵(竹内結子)

宇宙科学研究所(現・JAXA 宇宙航空研究開発機構)のスタッフとして〈はやぶさ〉の運用や、広報の仕事に携わる。ほとんどの登場人物に特定のモデルが存在するが、水沢恵は、カメラ班や広報の女性スタッフをミックスして造形されている。彼女の眼を通して、〈はやぶさ〉を支えた人々の熱いドラマが語られる。

コメント

7年越しの〈はやぶさ〉の帰還が多くの人に感動をもたらしたように、この作品も今の日本の夢や希望となれたら嬉しいです。

的場泰弘(西田敏行)

宇宙科学研究所対外協力室室長。〈はやぶさ〉の講演を聴きにきた恵の知識と熱心さに注目し、宇宙研に誘う。広報活動だけでなく、〈はやぶさ〉打ち上げのために、各地の漁協との交渉に奔走する。モデルは、〈はやぶさ〉運用時に対外協力室室長だった的川泰宣氏。現在はJAXA名誉教授・技術参与、またNPO「子ども・宇宙・未来の会(KUMA)」代表として子供向けの教育活動にも力を注いでいる。

コメント

震災と原発事故による日本のマイナス・イメージが広まっていますが、この映画で改めて〈はやぶさ〉の快挙、世界に誇る日本の科学技術を知ってもらいたい。昨年のあの感動をもう一度思い出してもらい、日本に誇りとプライドを取り戻したい。

坂上健一(髙嶋政宏)

〈はやぶさ〉に搭載したマルチバンド分光カメラ(AMICA)を開発したカメラチームのリーダー。予算を管理している萩原教授に食ってかかるほどの熱血漢。〈はやぶさ〉プロジェクトには、坂上のように宇宙研の外部からも様々な専門家が多数参加している。モデルは、招聘研究員としてカメラ班を率いた理学博士の齋藤潤氏。

コメント

当時〈はやぶさ〉のニュースをまったく見ていなかったので、ゼロ戦かなにかの映画と思ってました。ところが台本を読み終わる頃には、目頭が熱くなり、この作品の“絶対にあきらめない!”というテーマに強く心打たれました。多くの方に劇場の大スクリーンで観てもらいたいですね。

川渕幸一(佐野史郎)

〈はやぶさ〉のプロジェクトマネージャー。火星探査機〈のぞみ〉プロジェクトでは、火星への衝突回避のためにミッションを断念したことがある。〈はやぶさ〉でも何度もピンチに陥るが、豊富な科学知識と冷静な判断力でスタッフを牽引していく。モデルは、宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系教授・工学博士の川口淳一郎氏。

コメント

撮影現場はいつしか本当に〈はやぶさ〉を帰還させるための作業へと移行していた。はやぶさの帰還と撮影の着地とが重なり、みなが一丸となった。今こそ、この歓びを共にわかちあいたい!

田嶋学(山本耕史)

イトカワからサンプルを持ち帰るサンプラー担当者であり、〈はやぶさ〉運用にスーパーバイザーのひとりとしても関わる。運用を担当するのは、学生当番や協力企業のスタッフも含む混成部隊だが、JAXAの研究者である田嶋たちが運用班を統括する。モデルは、JAXA宇宙科学研究本部、兼月惑星探査プログラムグループ助教、矢野創氏。

コメント

想像は夢と願いを乗せ宇宙へと旅立ち、それは希望と未来への掛け橋となって今地球に舞い降ります。まさに〈はやぶさ〉の様に……。

喜多修(鶴見辰吾)

〈はやぶさ〉の心臓部分であるイオンエンジンの担当責任者。世界的にも類がないマイクロ波放電式イオンエンジンを研究開発している一流の研究者であるが、宇宙研を一歩離れれば、団地の自治会長としてこまごました自治会の案件に頭を悩まされている。モデルは、JAXA宇宙科学研究所宇宙輸送工学研究系教授、工学博士の國中均氏。

コメント

〈はやぶさ〉の帰還は、2010年のニュースで最も喜ばしいものの一つでした。その〈はやぶさ〉に秘められた物語を映画でお伝えする一員になれたのは、俳優冥利です。映画『はやぶさ/HAYABUSA』は別の世界のことのように思う宇宙のことが、少し身近に感じられる作品です。

矢吹豊(筧利夫)

文部科学省の官僚。〈はやぶさ〉プロジェクトの予算やスケジュールを常に厳しくチェックしている。的場の情熱に少しずつ影響を受けていく。

萩原理(高橋長英)

〈はやぶさ〉サイエンスマネージャー。萩原研究室に恵を受け入れる。モデルは元宇宙航空研究開発機構宇宙科学本部教授、理学博士の藤原顕氏。

小田島加那子(市川実和子)

JAXA対外協力室で恵と共に働く広報担当。内之浦、宮崎、高知の漁協へ交渉に向かう的場に同行する。モデルは対外協力室の女性スタッフ。

福本哲也(マギー)

喜多の後輩でカプセル担当責任者。モデルは宇宙航行システム研究系(月・惑星探査プログラムグループ研究開発室併任)准教授の山田哲哉氏。

平山孝行(甲本雅裕)

イオンエンジン担当。運用スーパーバイザー(運用班長)として管制室を指揮する。モデルは宇宙科学研究所准教授、工学博士の西山和孝氏。

はやぶさの熱狂的なファン(生瀬勝久)

J〈はやぶさ〉の動向を四六時中チェックしているおたく。パソコンの前で大騒ぎしているが、どうやらニートなもよう……。

【STAFF】

監督…堤 幸彦

今回『はやぶさ/HAYABUSA』を監督するにあたり、〈はやぶさ〉のニュースは久々に聞く明るい話題でした。大震災で大変厳しい状況の中、この映画が少しでも日本の皆様に自信と力を与えられれば嬉しいです。

プロデューサー・脚本…井上 潔
脚本…白崎博史
音楽…長谷部 徹
VFXスーパーバイザー…野﨑宏二
撮影…唐沢 悟
美術…相馬直樹
照明…舘野秀樹
編集…伊藤伸行
衣裳…清藤美香
主題歌「たいせつな光」…fumika

『はやぶさ/HAYABUSA』

PRODUCTION NOTE

日本中を感動させた〈はやぶさ〉、映画化実現までの道のり

2010年春、アグン・インクのプロデューサー井上潔は、小惑星探査機〈はやぶさ〉について精力的に調べていた。世界初のミッションを次々に達成し、7年ぶりに地球に戻ろうとしている〈はやぶさ〉、そして瀕死の状態の〈はやぶさ〉を救出しようと懸命な努力を続ける日本人科学者たち。井上は〈はやぶさ〉について知れば知るほど、このような物語こそ今の自分たちに必要なのではないかと思い至る。そして6月13日、〈はやぶさ〉奇跡の帰還が日本中を感動の渦に巻き込む。

20世紀フォックス インターナショナルプロダクション(以下、FIP)の社長、サンフォード・パニッチは、優れた映画のアイデアを求めて定期的に日本を訪れていた。折しも6月に来日していたパニッチは井上と出会う。〈はやぶさ〉の偉業と、その帰還に湧く日本の盛り上がりを知り、映画化にふさわしい題材だと直感したパニッチは、井上と企画開発の契約を交わすことを決める。それにより、20世紀フォックスが企画開発から指揮を執る初めての邦画プロジェクトが誕生する。

8月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)に取材を開始。JAXAには、20世紀フォックスを含め数社から映画化の話が来ている状況だった(最終的には8社からオファーがあった)。JAXAから〈はやぶさ〉プロジェクトに直接関わった宇宙科学研究所(ISAS)を紹介された井上ら映画製作者サイドは、30人以上もの関係者に何回にも渡ってインタビューを重ね、徐々にストーリーの骨子を固めていった。井上はインタビューをするうちに映画が目指すべき方向性を見つけることができたと語る。

「〈はやぶさ〉のことを知りたいだけだったら、ドキュメンタリーには勝てません。でも私たちはプロジェクトに関わった人たちの顔が見えるような作品にしたいと思っていたので、その意図を〈はやぶさ〉プロジェクトマネージャーの川口淳一郎先生に説明しました。印象的だったのは、先生方が皆さん“いろいろな困難に見舞われても、それを乗り越えようとすることが楽しかった。〈はやぶさ〉のプロジェクトが本当に面白かったから”とおっしゃっていたことです。私たちが〈はやぶさ〉に対して抱いた思いや感動を形にするのではなく、関係した方たちの思い、その熱さをどうやって伝えるか。それが重要なんだという思いを強くしました」

FIPのパニッチが再び来日した9月、井上から企画の進捗状況が説明される。この時、〈はやぶさ〉プロジェクトに関わった多くの人々のインタビューの内容、実際に起こった感動的なエピソードの数々を聞いたパニッチは、他社の企画に先駆けて最初に脚本を完成できると確信する。さらに、井上は「この企画はぜひとも堤幸彦監督にお願いしたい!」と多忙な堤監督を口説き、メインキャストも固まり始める。

年が明けて2011年1月。先行して着手していたCGの開発作業に加え、ロケハンなど、本格的な製作準備を開始する。一方、アメリカの20世紀フォックス本社の製作メンバーも、カリフォルニアにあるNASAの設備の撮影許可を取るなど、共同で準備を開始していた。

3月11日に起きた未曾有の大地震によって、ガソリン、電力事情の悪化が懸念される中、スタッフの驚異的な尽力によって、4月13日に無事にクランクインを果たした。

『はやぶさ/HAYABUSA』

JAXA関係者も驚愕した堤組のリアリティへのこだわり

JAXA全面協力のもとで始動した『はやぶさ/HAYABUSA』。宇宙の分野では世界的にも珍しい“理工一体”のプロジェクトである〈はやぶさ〉の映画化ということで、小惑星〈イトカワ〉を調べる“理学”、探査機の運行を司る“工学”、それぞれの分野の重要なシーンでは、JAXAの専門家が撮影に立ち会い、セリフなどの監修を務めた。そして、撮影はJAXAの相模原キャンパスでも連日行われた。マスコミのための会見が実際に行われた会議室をはじめ、様々な場所で撮影が敢行されたが、その中でも特別な緊張感を持って撮影されたのが、特殊実験棟内にある「イオンエンジン耐久性評価システム」。イオンエンジンの耐久性を宇宙空間と同じ真空状態でテストするための装置で、大規模なものは日本に1台しかない。撮影NGと思われていた設備だが、交渉の結果、少人数での撮影が許可されて貴重な映像を収めることに成功した。

管制室は現在も使用中であるため撮影はできなかったが、その代わりに日活スタジオにまったく同じ大きさのセットが組まれた。モニターやコンピューターの数、天井の明かりの配置、壁の貼り紙に至るまで忠実に再現された管制室のクオリティには、監修で撮影現場を訪れたJAXAスタッフ全員が「何分かいると、本当の管制室にいる気分になってくる」と驚いた。管制室の隣にある第二運用室の壁に貼られていたバスの時刻表を見つけた〈はやぶさ〉プロジェクトマネージャーの川口淳一郎氏からも「本当にこういう感じでした」とお墨付きが与えられた。

また、監修を務めた多くのJAXA関係者がこっそりとカメオ出演しているのも興味深い。例えば、相模原キャンパスの中庭で気球を上げてカプセルの回収訓練をするシーンでは、気球を上げる担当、探査用のアンテナを設置する担当など全員が現役のスタッフであり、実際にオーストラリアのウーメラ砂漠にカプセルの回収に行った人たちなのである(回収シーンは実際にウーメラ砂漠でのロケが敢行された)。

もちろん、管制室や実験室がリアルなだけでは完成しない。映画『はやぶさ/HAYABUSA』は地上だけでなく、宇宙も舞台なのだから。〈はやぶさ〉は地球から3億キロの彼方にある〈イトカワ〉を無事に撮影してきたが、“深宇宙”を旅する〈はやぶさ〉自体の姿をとらえた写真や映像は当然のことながら存在しない。そこで必要になるのが、CGによる再現映像である。JAXAの依頼で〈はやぶさ〉を描いてきた池下章裕氏のイラストを参考にし、VFXスーパーバイザーの野﨑宏二たちスタッフが、精密でリアルなCG映像を作り上げた。〈はやぶさ〉の満身創痍になりながらの旅路を見事に再現した映像が、感動を呼び起こすことは間違いない。

『はやぶさ/HAYABUSA』

モデルとなった人物に敬意を払った俳優たちの役作り

映画『はやぶさ/HAYABUSA』は〈はやぶさ〉そのもののドキュメンタリーでもなければ、再現VTRでもない。堤監督も〈はやぶさ〉の物語ではなく、僕が作るのは人間のドラマです」と語っている。だからこそ、キャスティングにも演出にもこだわった。「登場人物のモデルになった方たちに最大限の敬意を払わないといけない」と井上プロデューサーはつけ加える。俳優たちもこれまでとは違う意識で演技に取り組んだ。

他の誰よりも外見がモデルの人物に似ていると現場で評判だったのは、川口淳一郎氏をもとにした川渕幸一役の佐野史郎。現場で資料映像を見ながら、仕草まで真似する入れ込みようだった。

「これまでにも実在する人を演じたことはありますが、結局はフィクションなんだと思って演じることが多いんですね。ただ、今回の場合は宇宙の探査というプロジェクトも現在進行形ですし、監督からも“完コピ”という言葉を聞いていたので、じゃあやってやろうじゃないかと(笑)。でも、最初は外見や仕草を模写するところから入るんですけど、最後はどういうふうに考えているのかなとか、内面の方にしか気持ちがいかなくなります。結局は川口先生の考え方そのものと同調できないといけないんです。ですから、先生の著書はいつも現場に持っていっていましたね。『〈はやぶさ〉式思考法』で書かれていることは、そのまま演技論につながる気がして、すごく参考になりました」

ただし、あまりに〈はやぶさ〉プロジェクトマネージャーの役になりきろうとしたせいで、ヘトヘトになったと佐野は苦笑する。
「撮影初日の午前中、僕はセリフがなくて、管制室のモニターで〈はやぶさ〉を見守るというシーンでした。でも、3億キロ離れた宇宙で、直径500メートルほどの小惑星に降り立つ探査機、そしてそれを見失う……そういうことをイメージしながら演技しようとしたんですけど、エネルギーをいくら費やしてもなかなか想像ができなくて。実はこれが110本目の出演作なんですが、こんなに疲れたのは初めてかもしれません」

JAXA対外協力室室長だった的川泰宣氏をモデルにした的場泰弘役の西田敏行は、〈はやぶさ〉の講演をするシーンの撮影で、見学に訪れた的川氏本人と顔を合わせた。
「必ずしも似ている必要はないんでしょうけど、似ている方が観客の方たちの心が入りやすいということもあるかもしれませんし、監督の要望もありましたので、似るように努力はしました。私が実在の人物を演じる時は、お人柄のいい方の役ばっかりなんですよ(笑)。的川先生が現場にいらっしゃった時に意気投合したといいますか、人となりを知ることができました。私しか的川先生は演じられないだろうという自負を持ちましたね(笑)」
的川氏も実際に西田の演技を見て、賞賛を惜しまない。
「西田敏行さんが私の役を演じてくださったというのは、大変光栄なことです。撮影現場で初めてお会いした時、西田さんは専門用語を覚えるのに苦労されていたようですが、映像を見ると不自然さがまるでなく、私の講演よりもはるかに迫力があってすばらしいと思いました。また、現場でお話してみて、映画を通して想像していた通りの方だと感じました。役を演じられている時も、ご本人のあたたかい人柄がベースになっているからなのでしょう」

他の登場人物と違い、様々な人物をミックスしてでき上がったキャラクター、水沢恵役を演じた竹内結子はこれまでにない姿を見せている。ほぼノーメイクにメガネ、シャツはパンツにイン、背中にリュック、肩にトートバッグ……。当時のファッションを再現するべく、極端にハイウエストなパンツなど、ほとんどがこの作品のために作られたものだという。あまりにも地味な見た目だったため、現場で竹内を呼びに行ったスタッフが目の前を素通りしたこともあった。
「メイクの時間が男性のキャストの方より短いことがしょっちゅうで(笑)。恵は機能性重視で北海道大学のジャージをパジャマにしているんですけど、私もその格好でコンビニに行ってみたんですね。見事に誰にも気付かれなかったですね(笑)。いつもとは違う感覚で人と接しているような演技ができて楽しかったですね」
恵は主人公であり、モノローグのシーンもあるため、竹内は専門用語が入ったセリフを言う機会が多かった。しかし、それを乗り越えることで、〈はやぶさ〉プロジェクトへの理解を深めることができたという。
「ある程度意味を理解していないと覚えられないので、本やインターネットなどで調べてみるんですけど、その説明に使われている言葉がまたわからなくて調べる、その繰り返しで果てしないことになってしまい……。研究者の方たちはそういう時にもっと知りたいという欲求が湧くんだろうなと思いました。JAXAの方たちと実際に会ったり、JAXAで撮影したりして、これまでは身近に感じられなかった宇宙への考え方が変わりました。宇宙に辿り着くまでのことは全部人の手による手作りなんだと肌で実感しました」

ある日、撮影現場に急遽ステージが設けられたことがあった。管制室のスタッフを演じていたコントユニット「夜ふかしの会」のメンバーとお笑いトリオ「フラミンゴ」のメンバーがJAXAをネタにしたコントを披露したのだ。堤組の現場の雰囲気のよさ、そして端役でさえもJAXAや〈はやぶさ〉について理解していることを象徴する出来事だった。映画『はやぶさ/HAYABUSA』には隅々まで情熱が込められているのだ。

PROMOTION MOVIE


特別試写会へ30組60名様ご招待!

『はやぶさ/HAYABUSA』特別試写会へ30組60名様ご招待!

特別試写会へ30組60名様ご招待!!

提供数:30組60名様
日時:9月15日(木)18:00開場/18:30開演
場所:一ツ橋ホール(千代田区一ツ橋2-6-2)
応募締切:9月5日(月)10:00まで

プレゼント応募は終了いたしました。ご応募ありがとうございました。

『はやぶさ/HAYABUSA』
10月1日全国ロードショー 監督:堤幸彦
出演:竹内結子、西田敏行
配給:20世紀フォックス映画
(c)2011『はやぶさ/HAYABUSA』フィルムパートナーズ
hayabusa-movie.com

『はやぶさ/HAYABUSA』