女の子の手料理!
それは男の夢であるはず……しかし、時にそれは悪夢に変わることも。
「誰か『美味しい』って言ってやれよ!」
それは、友人の披露宴用にサプライズプレゼントを同級生と制作していた時のことです。
プレゼントがある程度仕上がってきたので、残り作業は男子メンバーで受け持つことに。
僕含む同級生で黙々と作業していると、同級生女子のひとりが駆け寄ってきました。
A子「皆、お疲れ様ー! パスタ作ってきたよ!」
わかりやすく喜ぶ男子メンバー。
やはり、いくつになっても女子の手料理には敵わない。
「A子、やるじゃんか!」
普段口を開けば
「皆お嫁に行っちゃって、あたしだけ取り残されちゃったよ」なんて愚痴ばかりだけど……。
料理ができる女子ってなんかグッとくるぞ!
「こりゃA子が嫁に行く日も近いな! いただきまーす!」
皆、大喜びで野菜パスタを頬張りました。
朝からずっと作業でお腹空いてた。
うん、こりゃ
相当まずい。
綺麗な見た目からは想像できないほどのマズさ。
マズイ……とてつもなく味がうすい……。
ひょっとして嫌がらせかな? と彼女の顔を伺いますが、
皆が頬張る姿に微笑む表情から作為的なものは感じられません。
この時、黙っていれば美人であるA子がなぜいつも男に振られるのか?
その場の全員が理解しました。
A子「どう? 美味しい?」※笑顔で
チクショウ感想聞いてきやがった!!
僕にできることは、
この場に味覚がぶっ壊れててこのパスタを「美味しい」と感じ取る希少タイプがいることを願うばかり。
しかし皆の顔を見る限り、残念ながらそんな奇跡は起こりそうになりません。
一気にお通夜みたいな空気になった。
僕:山城、お前「うまい」って言ってやれよ
山城:な! なんで俺が!?
高田:お前ガキの頃、A子に惚れてただろ。
山城:遠い思い出だよ! このパスタ食ってもっと遠くなった!!
大浜! お前好き嫌いないんだろ? お前に任せる!
大浜:今できた、嫌いな料理が。このパスタだ。
僕:お前ら鬼かよ? せっかくA子が作ってくれたんだろうが!
ウソでも「ウマい」と褒めてやるのが男だろ!
大浜:じゃあお前が褒めてやればいいだろ!
僕:それだけはイヤだ!!
……以上のアイコンタクト読心法でも解決策が見つかりません。
A子「やっぱり美味しくない……かな……」
僕:もういいよわかった!
どうせ明日の披露宴がすんだら俺は東京に戻るから!
俺が言うよ!!
皆:よろしくー
僕「素材の味が生きてるよね」
A子「あんたは子供の頃からそういう屁理屈ばっかりだね」
結果:フォローできませんでした。
なんか皆その流れに乗じて
「お前最低だな大田!」とか「もう沖縄戻ってくるな!」とか
ボロクソ言いだして、僕を悪者にすることで彼女の料理下手はうやむやになったかと思われました。
次の瞬間、彼女が「味噌汁もあるよ」と言い出すまでは。
味テロリストだよ、あいつ……。
※『和食の基本55』なら味噌汁の作り方もしっかり解説あり。
さりげなくA子に教えてあげたい、このアプリ。