黒猫
アリアが旅立ったいま、
鈴木家はわたしと猫のふたり暮らしです
ピータン5才
あの震災の年の夏
公園でカラスに襲われて死にかけていた
手の平サイズの子猫ちゃんは
やたらに凶悪な目をした
巨大な黒い動物になりました
ちなみに
拾ったときピーピー泣いてたから
ピータンです
マタタビの枝がすごいお気に入りで
最後の一本になってしまった枝を
(もうカッスカスで絶対匂いなんかしないのに)
捨てようとすると超怒られます
ザ 貧乏性
「これさえあれば他のおもちゃはいらん」
わたし(たぶん親だと思ってる)以外
人にはなつかずシャーシャー威嚇し
世界を滅ぼしてやるみたいな顔して
いつも上の方から見下ろしているので
いつの頃からか
「魔王」
と呼ばれているこの黒いヤツが
いまとなっては、たった一人の家族です
でもまあ、この子のおかげで
アリアのことも乗り越えられたし
(まだ、街で似た子を見るとダメだけど)
感謝して、仲良くやっています
いつか、この子にその時がきて
幸せだったと笑えるように
強く楽しく生きていきます
魔王、何千年とか生きてそうだけど。