三崎家タイ旅行日記
タイでは子供達に色々なものを見せた。何も隠さずありのままを全部見せた。
そして、子供達も初めて見たり感じたりしたものについて、たくさん質問をしてきた。
物乞いをする人達、路上で生活をし働く子供達、歓楽街で旅行客に声を掛ける女性達、私も3才の子供に対して自分なりに真剣に真実を一生懸命伝えていたのだが、
ふと「本当にこれで良かったのだろうか?」と考えてしまった。
3才の子供にこんなに馬鹿正直に答えるべきなのか?
子供を混乱させるんじゃないだろうか?
しかし考えた末に辿り着いたのは、そんな事など考えてもわからないし、どうでも良いことだ、ということ。
この子達が大人になった時に、都合良く世の中を生きて行くのか、不格好に馬鹿正直に生きて行くのかは、子供達が成長し判断していくべきだろう。
大切なのは今この瞬間を真剣に生き、子供達と向き合うこと。
だから俺はこの旅中、子供達と100%で遊び、100%で答え、100%で叱った…。
こんな親父で迷惑かもしれないけど、俺の子供として生まれて来てくれたんだから!「俺流子育てだ!!」
街中には目の不自由な人が道端で歌を唄い生計を立てている。
子供にとってはとても衝撃的だったのだろう。
「父ちゃん、あの人なんで目がなくて歌ってるの?なんで目がなくなっちゃったの?」と聞いてきた。
「なんで目がなくなっちゃったのかは父ちゃんもわからないけど、おそらく生まれた時から目がなかったのかな?でも目が見えなくても歌を唄ってみんなを喜ばせることができる。そしてお金をもらって生活をしてるんだよ。」
子供や老人など弱い人達には力を貸し、お腹が空いている人には物を譲り、困っている人には優しさをあげるんだよ、と教えてみた。
自分に都合の悪いものを隠し、汚いものから目を背けるのではなく、世の中には汚いものなど無いのだと教えたい。
汚いと思う心が汚いのではないかと俺は思う。
世の中の臭いものに蓋をして、子供に見せないようにすることは簡単な事だが、その場しのぎでしかない。
それに対して、一つ一つ話をすることはとても労力を要する。でもこれをないがしろにすると、いつかしわ寄せがくる。
格闘技の試合だってそうだ。楽をして勝つことなど到底できない。毎日毎日、黙々と練習した人間だけが一瞬だけ脚光を浴びるのだ。
ホテルに帰るタクシーの中で長男を抱っこしていた時、長男が言った。
「父ちゃん気持ちいいね。なんで?」
俺は「龍は父ちゃんが好きで、父ちゃんは龍が大好きだからだよ。」と言いながら、長男の胸を指差し「ここが繋がってるんだよ」と答えると、長男は「そっか〜」と嬉しそうに言った。
その夜に、ベットの中で子供に腕枕をしながら「龍、タイ楽しかったね。また来ようね。」「うん。また来ようね。父ちゃんと母ちゃんと大和と龍で、一緒に繋がって来ようね。」と長男が言った。
子供には嘘はつけないな。自分を写す鏡だな、としみじみ感じてしまった。
帰国日に日本とタイどっちがいい?と質問したら、長男は「日本」と答えた。そうだろうな。これが今回のタイ旅行の全ての答えだろう。
そしていつの日か、この国の豊かさがどれだけ幸せなことであり、同時に不幸なことでもあるということを、このタイ旅行の思い出と一緒に気づくだろう。
私自身にとっても多くの事を学び、大きな成長を遂げる旅となりました。
これからも必死に生き続けよう。