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親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」12

「青い鳥」

 

原作・メーテルリンク  文・水野英子

 

青い鳥12

 

 

12・「幸福の園」

 

「ここは(幸福たち)がいる所です。

でもすぐ隣には(不幸)の住むほら穴があって

その境は薄い水煙のようなヴェールでさえぎられているだけです」

 

光が皆を案内して来て言いました。

 

「ここの誰かが青い鳥を持っているかもしれません」

 

たくさんの太って着飾った人たちが、

山のようなごちそうのテーブルを囲んでいました。

 

「ようこそチルチル、ミチルさん。

ここに来てごちそうをおあがりなさい」

 

光がささやきました。

 

「一口も食べてはいけません。

さもないと皆自分がしなければならないことを忘れるでしょう」

 

大きなお腹をかかえて太った人がやってきました。

 

「私は(金持ちの幸福)です。

これは(お腹いっぱい食べても食べる幸福)で、

そこのは(もののわからない幸福)です。(何もしない幸福)に

(眠りすぎる幸福)(大笑いする幸福)・・・」

 

紹介はきりがありません。

 

「あのう、どなたか(青い鳥)をごぞんじありませんか?」

 

チルチルは聞きました。

 

「ああ、あの鳥ね。あれは食べられませんなあ」

 

気がつくとイヌやネコや他の仲間たちがテーブルでごちそうを

むさぼり食べています。光が

 

「危険だわ。ダイヤモンドを回しなさい」

 

と言いました。

 

チルチルがダイヤを回すと突然強い風が吹き、

カーテンもごちそうのテーブルも中に舞い上がりました。

衣装を引きちぎられた(幸福)たちが狂ったように悲鳴をあげて

隣の(不幸)のほら穴にかくれようとします。

ほら穴は全てを吸い込み、底の方からは

(幸福)たちが互いにののしりあう声が

嵐のように聞こえて来るのでした。

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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樹木洋二|(きぎようじ)イラストレーター、絵本作家、漫画家プロフィール

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樹木洋二(きぎようじ)
経歴:講談社・「週間少年マガジン」にマンガを投稿し奨励賞。

メディアワークス・「電撃コミックGAO!」で審査員特別賞。

講談社・「ミチャオ!」で銅賞、他、受賞後

ホーム社・「ねこまん」で「猫のオキテ」が掲載。

学研パブリッシング「世界のピアノ名曲10・名曲誕生物語」で漫画担当

プロフィール詳細 »

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