小説『彼女の命日』を読んで
みなさんこんにちは!
”歌う絵本作家”よねだ まみです(*´ω`*)
昨日、『彼女の命日』(新津きよみ作)を読み終えました。
まず、この記事はあくまでもよねだまみの個人の主観での感想であり、全ての方の価値観とは異なることを前提とする。
(ネタバレ注意)
この小説は久々に「面白い」と感じた一冊だった。
あらすじはというと、まず最初に主人公の楠木葉子が殺されるところから始まる。
そして命日である10月1日の一日だけ他の女性の身体を借りて甦る。
甦ったわずかな時間で自分は誰の体に入ったのか、自分の本当の家族がどうなっているかなど身の回りを調べていく物語。
しかも甦りは1回ではなく、命日毎に四回。それに同じ身体ではないという・・・
甦りと聞いて安易に感動ものや主人公を殺した犯人を探し出す推理小説みたいなものを思い浮かべるかもしれないが、これは全然違う。
新津きよみさんと言えばサイコホラー作品が多いようだが、これはその面影をかすかに残しつつも全く違ったお話になっている。
終盤は少々ヒヤっとするが、それまでは単純に続きが気になる面白い設定が多い。
まずこの本のテーマは意外にも「成長」かもしれない。
死というものは、一般的に考えて死んだその人の”時”が止まるものである。
現世、すなわち生きているひとたちの世界は誰かが亡くなったとしても進み続ける。
生きている人の成長があったとしても、亡くなった人は成長などしない。
しかし、この物語の一番の肝である”主人公の甦り”は幸か不幸か様々な身体を借り様々な体験をすることによって成長が見えてくる。
そして、残された人々もまた、時の流れとともに成長していくのだ。
話は変わるが、「もし自分が死んだら」と考えたことがあるだろうか。
甦りはけして出来ないとして。
全てが分からなくなり、生きた証は誰かが覚えていることくらいだろうか。
クリエイターなら作品が残るけれど。
また、残されたものは自分が死ぬことによってどうなるだろうか。
考えるだけで恐ろしいが、事実不慮の事故がないわけではなく、考えておくことも必要なのかもしれない。
そういった意味で考えさせられる物語だった。
もし、今死んで、一年後甦りが出来たとして。
自分はどうするだろうとも考えた。
家族に会いにいくだろうか・・・
途中まで考えて辞めた。
どうせならやはり”順番”がいいから。
誰かを亡くしたばかりの人などは少々つらい物語かもしれないが、「生の重み」を忘れかけている人にはぜひ読んでほしいと思う。
かなり余談だけど・・・
P128の一説
”上にクリームが載ったユーハイムのバームクーヘンが、葉子はケーキや菓子類の中でいちばん好きだった。”(引用)
思わずわかるーと思った。笑
ケーキ類まで入ると言われると難しいけど、焼き菓子の中では1、2を争うくらい私もユーハイムのバームクーヘンが好き。
(どうでもいい情報でした。)
次は何の本読もうかなぁ。。
よねだ まみ
最近の画像つき記事