並行して行うということは
手塚治虫の言葉に、こんなものがある。「僕はいつも何本か一緒にやってます。並行してやっているほうが、逆にカタルシスになるんですよ。一つだけだと、それに精魂を集中するあまり、なにか欲求不満になるんです。」
「一つのことにのめりこむということは、一つのムードができてしまうということなんです。常に揺らいでいるところから、自由奔放なものは産まれてきます。」
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私はパーソナルの他にカウンセリングやメールパーソナル、セミナーなどをやっているが、これらはできるだけ相手に時間を合わせることになる。
それらとは違い、自分の裁量で好きなときに自由にできる仕事が、原稿書きだ。
今のところ定期的に受け持っているのがBERSERKERとBFR、○N○、ダイエットメルマガで、月に15本程度のコラムを書いていることになる。
最近はエビデンス付きで書くようにしてて、コラム一本につき、平均で5~10本程度の論文をreferenceとして付けている。もちろん読むだけで採用しないもののほうが多いわけで、となると月に100本以上の論文にざっとアブストラクトだけでも目を通さなければならない。
今の医学文献データベースは良くできていて、あるキーワードについて調べていると、それに関連した論文が次々とrelated articleとして出てくる。
私の場合、手塚治虫とは真逆で、一つのことを集中的に調べるほうが好きだ。残念ながら私には手塚治虫の「創造性」はなく、得意なのが「分析統合」だからだろう。
しかし不思議なことに、いざ文章を書くときになると、一本をまとめて書くよりは、数本を同時進行させながら書いていくほうがやりやすい。
実はコラムを書いているうちに、最初に思い描いていた流れと結論から外れ、まったく違う内容と結論になってしまうことが多々あるのである。
別のコラムで触れるはずだった論文をコッチに持って来たり、書いていくうちに疑問が生じて、調べているうちに新しいことが分かってきて、最初から全部書き直したりということもあって、一気呵成に書き上げるということは15本のうち、2~3本しかないのだ。
小説や漫画の世界では、「キャラが勝手に走り始める」という表現があるが、それに似た感じなのかもしれない。どんなに疲れていても、書きかけのコラムに一度手を付けると、なかなか止まらないのだ。
自分に創造力がないのは返す返すも残念だが、こういう楽しみがあれば、またそれを仕事にできているというのは、決して悪いことではないのかもしれない。
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