ホームの出来事
彼が元気なころは、一緒に各地を旅しました。
仕事で郡上八幡にも行きました。
この時は 染めの取材でした。
彼は大手出版社の雑誌編集者だったので、ともに一緒の旅をしたわけです。
森鴎外の特集担当も彼だったと思います。
この時は津和野や北九州にも行った記憶があります。
彼は私より11歳年下です。背は私より高く、とても穏やかで思慮に富んだ編集者でした。
会社を辞め フリーになってからは「サライ」で連載したのも楽しい仕事でした。
取材だけではなく、映画評論も得意です。
最近は病のため、足が不自由になり、仕事もあまりしていないようでしたが、
私の写真展には必ず顔を出してくれてます。
ありがたいことです。
総武線沿線に住まいで、週に1回ほど都心に出てこられます。
ところが1週間ほど前のこと、 JRお茶の水ホームで突然足が効かなくなり、
そのまましゃがんでしまいました。
椅子があればそこまで頑張ったと思うのですが、ご存知のようにあのホームは狭いうえに
工事を進めている最中です。
そうなんです。周囲に大きな病院をいくつも擁しながら、椅子どころかエスカレータも
エレベータもない乗換駅なのです。
私もそうですが、駅利用者は常に混雑の波に押し流されるようにして乗り降りしています。
そのホームに突然しゃがんでしまったのですから大変です。
どうしようもなくそのまましゃがんでいると、偶然駅員さんが近づいてきました。
普段駅員の姿など見えない駅なのに、ラッキーです。
本当にラッキーなことと思ったそうです。
しかし近づいてきた駅員の最初の言葉、
「どうされましたか」
「大丈夫ですか」
ではなかったのです。
想像つかない言葉でした。
「ここで何してんだ、邪魔だ。あっちいけ」
信じられますか!
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