間違いに気が付いた話8
抜き足差し足でリビングに戻ります。
父が小さく寝息を立てる
リビングは、とてもひんやりしていました。
先ほど、蒸し暑いトイレの中にいたボクからすれば、
まるでそこは天国（パラダイス）のようにも思えました。
静かに陰茎を握ります。
ひんやりとクーラーの効いた室内で、
それは場違いなほど熱気を帯びていました。
ふと、父に目をやると、
よく眠っています。
ですが、ボクの手淫の微々たる音も
父親に感づかせてはいけない。
ボクはカモフラージュのためにテレビを付けました。
そのときちょうど夏休みの再放送番組で、
初期のめちゃめちゃイケてるが放送していたのをよく覚えています。
しかし、騒々しいバラエティの喧騒も、
いまのボクの耳には届きません。
手淫は激しさを増します。
次第に”そのとき”は迫ってきます。
薫「はぁ……はぁ……そろそろ、イっ――」
いよいよ、というとき父親がムクリと起き上がりました。
父「――ふぁあ～、よく寝た」
父「……え？」
薫「……え？」ﾄﾞﾋﾟｭ
おそらく、父親の顔を見ながら射精することは
これが最初で最後でしょう。
そこからしばらくお説教でした。
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父「まったく……
そういうことに興味がある時期だというのはわかるが、
所構わず行為に及ぶというのは、知性ある人間がすべきことではないぞ」
薫「……はい」
父「もっと、こう……スポーツとか、
勉強だとかに、そのエネルギーを使いなさい」
薫「……はい」
父「で、お前、その行為はどうやって知ったんだ？」
薫「……PCで調べました」
父「なにぃー！ お前、PCをそんなことのために使ったのか！！」
薫「だってお父さん、言ってたじゃないですか」
父「なにを？」
薫「息子の将来のためにってね」
おしまい。
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