信じられないほど地下に潜っていく。
地下鉄大江戸線はいつも使う電車だが、降りていくエスカレーターに恐ろしくなる。
大都会は、
断面図にしたら
まるで蟻の巣のような複雑なアナだらけだという。
昔、学研のおじさんが校門に待っていて、蟻の巣実験セットとかを売っていて、無性に母にねだったものだ。
時代が変わって、
雑誌の「学習」と「科学」が休刊になるという。
あの中の付録は、楽しかったのになあ。
さて、地下鉄に乗れば
単語暗記カードを懸命に見ている高校生。
その座席は、お年寄りや身体の不自由な方や、妊婦の優先席。
目の前にお婆さんが立っても、単語を暗記することを止めず席を立たずだ。
若いサラリーマンは、
ゲームをむさぼる様にやりながら、お腹の大きな女性が立っているのを構わない。
いったい、
高校生は単語を覚えて進学して社会に出て、なんの役に立ち生きて行くつもりか。
世の中と政治に文句をいいながら、生活が良くならないと愚痴りつつ、社会で働く大人がゲームしながら他人への思いやりをないがしろにしているのだから、
地下鉄内は暖房だけが暖かくて、人の心は氷点下である。
高校生よ。
何を学ぶのか。
難しい方程式を解けても、一流大学を出ても、
お年寄りに席の一つも譲らずに勉強したことは、
本当の意味での人生勝利の糧にはならないよ。
素晴らしいと言われる会社に入って、漫画やゲームをしながら他人の憂いに目もくれず座席に悠々と座るサラリーマンに、
君もなるのだよ。
学校が教えることじゃない。
家が教えることだよな。
俺の親父はそう教えてくれた。