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エン*ゲキ#04 絶唱サロメ

秋の風が吹き込む今日この頃。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

もはや機能しているのかどうか甚だ疑問なこのブログを更新する時がやってきました。

年に一回、あるかないかの激レア存在ではありますが、長文を載せるすべが僕にとってはこの場なので、是非とも活用していきたいと思います。


さて、作・演出舞台、絶唱サロメが千穐楽を迎えました。もちろん、様々な作品を日々生きさせて頂いておりますし、それぞれに筆舌にし難い感動はあります。

が、いかんせんエン*ゲキシリーズに関しては期間が長い。企画立案から執筆、演出、稽古、本番を2年近い時を労し積み上げていくのですから、やはり感慨もひとしおなのです。だから長文も書きたくなる。

絶唱サロメロスがひどいんです。笑

最初に宣言しておきますが、恐ろしく長いですよ。ご覚悟を。


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まず第一に、ご来場頂きました皆様、応援、声援をお送り頂きました皆様に、心からの感謝を。お客様に足を運んで頂いて始めて作品は存在する事ができます。

世界に届けるために、地球にパンチをするために、やっぱりそこには”人”が必要なのです。面白いと感じて頂くこと、楽しかったと思って頂くこと、全てはその為に存在するべきであると僕は思います。

それが果ては我々の喜びとなり、世界を変える力になる。あなたは言わば共犯者であり、友人であり、恋人であり、家族であり、全てなのです。出逢ってくれて、同じ時を過ごしてくれて、ありがとう。幸せでした。

そして今日から明日、その先も、あなたが過ごす日々が幸せでありますように、僕が誰よりも心から祈っております。


今作は本当に一筋縄ではいきませんでした。改稿も11稿まで重ねました。過去どの作品よりも難しくて、不安で、押し潰されそうな日々に苦しみました。

だけど、何よりも僕は自分を信じました。観たことないし、誰も知らないし、答えは無いけど…だって僕は誰よりも最初にこの作品は面白いんだ!と感じたひとりだから。

そしてそこからひとり、またひとりと「面白いよ」と言ってくれるスタッフ、キャストが仲間に加わり、倒れそうな僕を支えてくれました。過去の僕が大丈夫だよと背中を押してくれて、今まで出逢った全ての出来事が後押しをしてくれました。

一人じゃ歩く事もできないけれど、愛する人が側に居てくれれば空を飛ぶことだって当たり前になる。この作品に込めた思いがまたひとつ勇気をくれて、上演までやってこれました。

それでも、日々は容赦なく試練を与え、天災は色んな物を奪い去っていきました。

それでも、終わったいま心を占める感情はやはり「感謝」でしかない。それしかない。

この想いが、きっとまた新たな地へと、誰もいない地平線の彼方へと連れて行ってくれる気がして、僕は幸せなのです。


せっかくなので、キャストのみんなの話を少し。


今回、皆さまびっくりなさったのではないでしょうか。アンサンブルチーム。

これは長年、僕がやりたかったひとつでもあるのですが。

アンサンブルを「その他大勢」だと思ってる方は意外と多いのではないでしょうか。だから今までその言葉が大嫌いでした。そのようなつもりで板の上に立つ人も苦手でした。

だけど、本来の意味はそうではない。「共に」「土壌となり」と言う素敵な言葉です。

客席に座る全ての方に、この役が存在しなければ作品は成立しなかったね。そう言われる”アンサンブル”であるべきだと思います。

それをまさに体現してくれたチームにはもう、胸を張ってドヤァ!と言えます。最高だったでしょう?


石上龍成くんのアクロバットは天下一品!あのトリッキングを一寸の狂いなく映像作品の一発ではなく舞台の全公演で見世物として披露できる人間を僕は観たことがない。

それでいてあの芝居心、そして普段の愛嬌!素晴らしすぎて心底惚れ込みました。


北村海くんは池田屋に続いて2回目の共作。ミスターオールラウンダー!殺陣ができる、アクロができるだけじゃ飽き足らず、ヘロデやヘロディアと渡り合うあの芝居!そして究極のダンスチームに食い込むダンサー魂!やっべーよこの人。凄いなんてもんじゃない。もう離さない。笑


佐竹真依ちゃんはバレエのスペシャリスト!あのイタリアンフェッテを回れる人間が舞台業界にいますか!?いや、いないね!!水の精が登場するシーンは基本、バレエの表現を詰め込んでいますが…きっと彼女がいなかったら成立しなかったんだろうな。大尊敬です。


山崎涼子さんは、あの炎のタップシーンを作った方!たった5人で奏でるタップシーンなのに、そこには100人の大隊が見えるようで、一番のエンタメシーンの核を創造して頂きました。その上で全要素のダンスを踊れるのだから、そりゃもう素敵で仕方ありません。


吉野菜々子。今作の振付師です。恐らく全スタッフの中で一番最初に僕が直接オファーをした人物。今作を産み出す上で避けては通れない絶対的な表現。この世界を構築できる振付師がどうしても必要だった。そんな時、ポンと頭に閃いたのが彼女でした。実は、舞台作品を一本通して振付するのは今作が始めてでした。

それも知っていたけど、彼女以外に考えられなかった。本当に天才だと思う。きっとこれから先、エンターテインメントの世界に必ず必要とされ、愛される存在になって行くんだと思う。どうぞ皆さま、この名前を覚えておいて下さい。


そんな最高のアンサンブルチームで作り上げた絶唱サロメの身体表現。観に来て頂いた色んな制作陣に紹介しろ!!と口酸っぱく言われました。そりゃあそうだ!だって凄かったもん!皆様の心にもきっと…。


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ラバンを演じた吉田仁美ちゃん

出逢いは遡ること7年。気が付けば長い付き合いになったけど、初めましてと挨拶を交わしてから今日までずっと変わらない。愛に溢れていて、純真で、真っ直ぐで、この人の人生が幸せでなかったとしたらそんな世界は間違ってる。そんな風に思う素敵な人です。

だからこそ、今作のラバンはハマり役だったのでは。普段の彼女からは程遠い役柄ではありますが、そんな彼女だからこそ誰よりも彼女に寄り添えたのだと思います。

雷のヴォイスはポップでキュートだけど残酷。相反する魅力を兼ね備えた最高のパフォーマンスでした。


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ナーマンを演じた芋洗坂係長(小浦一優)さん

ミュージカルヘッズアップ!からのお付き合い。本当に運命とも言える偶然によって今回、共に作品創りができました。オファーをしたのは、とある会合の帰り道。

少し飲み足りないねと、初めて二人で乾杯を交わした日でした。スパークするようにビビビッと想いが駆け巡り、それからはもう、ナーマンが芋さん以外考えられなくなり…皆様にとってもそうだったのではないでしょうか。タップ&ラップでビートを刻む巨体!!カッコよかったです。巡り合わせに、チェインに感謝。


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ナラボートを演じた納谷健くん

はじめまして、そしてこれからもよろしく。その言葉が一番相応しいのは彼だと思います。もちろん存在は知っていたし、彼のお芝居を拝見する機会も多々ありました。だけど、ここまで泥臭い男だとは思わなかった!スマートに見えて、器用にみえて、卒なくこなすように見えて、本当は誰よりも足掻ける一途な男。

稽古場では恐らく一番厳しい言葉も言ったけれど、必ずや彼なら乗り越えてくれるはず…その想いは叶いました。ナラボート。男らしくて真面目で必死に生きる姿が誰よりも美しく光っていました。カッコいい!嫉妬!!本当にありがとう。


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ヘロデを演じた鈴木勝吾

やあ、親友。心友。真友。どうしようか、言葉が出てこないね。辛い日々を背負わせてしまってごめんね。さぞ苦しかったでしょうね。いつも見ていたよ。誰よりも痛かったよ。

だけど心底信頼していたから。どんな壁が立ちはだかろうと、あなたなら。人の心が形を変えて、ぐちゃぐちゃになりながらも一歩、また一歩と意地でも進み、果ては見たこともない綺麗な姿に変貌していく様をそばで感じられて…ああ、幸せだなぁ、と染み入るように思いました。

ヨカナーンとのヴォイスバトルを稽古場で初めて観た時…あの時の涙は、僕の友達は凄いなあ!って意味で流れた涙でした。こんな気持ち初めてだよ。笑

全てが終わった後、君と迸らせたハイタッチで手のひらに感じた痛みは、忘れない。


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ヘロディアを演じたシルビア・グラブ姉さん

まさか。ですよ!まさか、自分の作品で姉さんが唱う日が来るとは思いもしませんでした。

究極の理想であり果てしない夢だと思っていましたが…勇気を振り絞ってお願いをして本当に良かった。大きな愛で包み込み、それでいて鋭く刺すように役と向き合って頂き、お稽古や本番が終わった後は誰よりもキュートに可愛く飲みの場で花を咲かせる。そんな姉さんが、ひと目見た時から大好きでしたー!!!

圧倒的な存在と圧倒的な歌唱でサロメの世界は妖艶な魅力に溢れました。これからも、姉さんと一緒に芝居を作れる器を持てるよう、エンターテイナーとしても人としても精進します。


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サロメを演じた豊原江里佳ちゃん

運命の出逢い。さながら、サロメがヨカナーンと出逢ったように、僕は彼女と出逢い、恋に落ちたのだと思います。

自身の作品では初のオーディション開催。約300人もの素晴らしい才能と出逢わせて頂いた中でも、彼女は異質な存在としてそこに在りました。歌唱、舞踊、芝居、どれをとっても異質な輝きを放っていて、形容し難い違和感に包まれていて、それでいて無垢な美しさを纏っていて…そう、きっと僕が描きたかったサロメはこれなんだ!彼女と出逢い、初めて腑に落ちたのだと思います。

お稽古を重ねる中でそれはどんどん研ぎ澄まされていき、正しく悩み、正しく迷い、そして遂には本作のサロメが産まれたのです。本番を迎えてからも決してなぞることなく、回を増すごとに強く輝きを放っていく彼女の姿は、求め続けたサロメそのものでした。


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そして


ヨカナーンを演じた松岡充さん。

色んなところで話してはいましたが、やはりこの作品は兄さんとの出逢いがきっかけで産まれたものです。だから、どんな幸せも、どんな喜びも、どんな夢も、2人で分かち合うべきだと思います。

こんな若僧一匹を全身全霊をもって支えてくれて、立ち上がらせてくれて、前に進ませてくれた。ヨカナーンはヨカナーンであり、松岡充であり、僕であり、あなたであり、誰でもある。

神様なんてこの世界にはいないのかも知れないけれど、あなたにとっての神様はきっと隣にいて、また、あなた自身が誰かにとっての神様なのかも知れない。そんな事を本気で思わせてくれた兄さんには感謝してもしきれません。

ライブエンターテインメント。演劇であり、ライブであり、芸術でありながらもどこまでもエンターテインメントである。

僕の目指した”面白い”はこの方と共に歩めたからこそ産声をあげました。サヨナラは言いません。何故ならまだ僕らの絶唱サロメは終わってなどいないから!


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ついでにガブリエル 。

多くは語らぬ。僕の心に遊びに来てくれてありがとう。愛してるよ。 


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スタッフ陣にも感謝の気持ちを伝えたい。

訳の分からない事ばかり言って、常識をぶち壊しまくって、ごめんなさい。

キャッチーかどうかじゃなく、命が燃えるかどうか!そんなオーダーに応えてくれた音楽。

ありえない場面転換を、演出のワガママを、これでもかと実現してくれた舞台美術。

あんなにバトンを下げまくって灯台むき出しの照明は演劇の常識から遠く外れてましたね。

勝負するのは演劇じゃねえ、ライブハウスだ!と言ってくれる音響さん、どこにいますか。

世界観を後押しするだけじゃなく、まるで俳優と共にキャラクターを作り上げるような衣装。

芝居を増幅させ、それでいてその人自身に寄り添うようなメイク。

まるで生き写しのような生首には思わず唇を重ねたくなりました。

音楽と芝居とアクションを見事に融合させた殺陣、振付。

イレギュラーに稽古場を飛び回る演出をしっかりサポートできる演出助手。

揺るがぬ大地のように全体を支え、歯車を止める事なく進め続けてくれた演出部、舞台監督。

余す事ない…どころか僕自身が見惚れるような作品世界の魅力を届けてくれた宣伝美術。

一瞬を切り取るように生き様を撮ってくれたカメラマン。

延々と読み続けられる見応えだけでなく、何度も考察したくなる楽しみをくれるパンフレット。

閃きと驚きと確かな観察眼で作品世界に潤いを与えてくれたキャスティング。

最後までお客様の一番側で手渡しをするように愛を届けてくれた制作部。

少しでも多くの方へ届けと奔走してくれた宣伝部。

そして、特大の十字架を共に背負い、苦難と困難が立ちはだかる中、なんの保証もない中、それでもこの作品をこの世に産む決意を、価値を見出してくれたプロデューサー陣。


あなたたちは僕の無茶苦茶なオーダーを笑いながら”面白いな!”と言ってくれました。ねえ、たぶん僕なんかよりも随分クレイジーですよ。笑


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そんな最高な人たちと、素晴らしい才能と、届けたいあなたの為に過ごせたこの一瞬の時間が、幸せでない訳がない。

願わくばこの幸せが永遠に続くように、と祈っておりましたが…やめました。

祈ってるだけでは世界は変わらない。「求めよ、さすれば与えられん」は、望めばなんでも降ってくるなんて意味じゃない。

自分の足で前に進み、自分の腕で掴み取る。その渇望さえあれば、奇跡は自ずと与えられる。

生きることはわからない事だらけで、一寸先は闇なのかも知れないけれど…いいよ、わからなくて。

望む明日がある事に、大切な誰かがいる事に、叶えたい夢がある事に、ただ感謝を。それがきっと、幸せってことだから。


また、出逢いましょう。これから先も、僕はずっと”面白い”ことだけを求めて歩き続けます。

目の前のただ一瞬の為だけに。その奇跡が繋がった先に明日はあると信じて。


最後に改めて。ありがとうございました!!


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池田純矢|いけだじゅんや(俳優)プロフィール

プロフィール画像

池田純矢(いけだじゅんや)
身長・体重:171cm・59kg
生年月日:1992年10月27日
出身地:大阪府

【経歴】
2006年、第19回JUNONボーイコンテストにて、準グランプリを受賞しデビュー。
その後、「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」「斉藤さん」「DIVE!!」など数々のドラマ、映画に出演。
2011年スーパー戦隊35年記念作品「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイシルバー/伊狩鎧 役で注目を集める。
2012年から舞台作品にも積極的に参加し、代表作に「ミュージカル薄桜鬼」シリーズ等。
また、2013年には「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」にて主人公の一人を演じ、声優としてのキャリアもスタートさせた。
他代表作に「牙狼〜闇を照らす者〜」などがある。

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