エレベーターの中から。
少女の嗚咽が……。
1階に降りようと、下矢印の赤く点灯するボタンを押して待っていると、
上からひゅーっと降りて来たエレベーターの箱。
少女のやや開放的な嗚咽と共に。
まぁ、中で喧嘩してるか親に怒られてるか、家出少女か。
ドアが開くまでの数秒色々考えますよね。
ドアが開くとそこには……
あっ、怪談話じゃないですよ。
ちゃんと居ました。
奥の壁際に、ピンクのワンピースを着て、
小さな体格で一番効率の良い持ち方なのか、
ピンクのフラフープを輪の中に入るようにして持った小学校1〜2年生位の少女。
エレベーターに乗り込んで1階を押そうと思ったら、押してある。
ということは、この少女はここの住民で地上に降りる目的なんだなぁ、と瞬時に判断。
閉めるボタンを押しながら、ふっつーに
「どーしたの〜?」
と、見下ろしたりにじり寄ったりして恐怖感を与えないように、極々ふっつーに聞くと
「うぇっ……おっがぁさんど、はぐれだのぉぉぉ……グスグス、げほっ」
ふーん、なるほど〜
「じゃ、1階で一緒に待ってよっか。お母さんもきっとすぐ来るよ」
「……うん」
こんな見ず知らずのお姉さん(?)でも居てくれれば安心するのか、
少女は泣くのをやめてくれた。
1階について待つ事2~3分。
私達の間に特に会話は無く、それが当たり前の事だとでも言うように、お母さんなる人物の登場を二人で心待ちにしてた。
そこに、不安げに、でもきっと居てくれるという期待も混じりつつな様子で女性が隣のエレベーターから降りて来た。
少女が動き出す前に、その人がこの子のお母さんだってわかった。
すごいよね、お母さんって人は。
何でだろ?
「おがーさぁぁんっ!」
「あら、居た、もうっ!」
ひしっ。
感動の再会なわけで。
私に気づいたお母さんが
「ありがとうございました!」
と声を掛けてくれたので、
「へっ、礼には及ばねぇぜ!」
なーんて、どこかのヒーローのようには言えず、
「あー、いえいえ」
と踵を返して出口に向かいました。
会えて良かったねぇ、という実にほんわかした気持ちも、
この少女はちょっと過保護に育てられてるんかなぁという冷静な想いも、
震災ではもっと凄惨な別れも、再会もあったろうな……という気持ちも。
小さな箱に自動的に閉じ込められて、
お母さんを待ちたい意とは反して下へ下へグワングワン勝手に移動して行っちゃう。
少女にとってはさぞ心細かっただろうなぁ。
居るはずの娘の姿が無い。
もしくは機械の操作間に合わずで娘とはぐれたお母さんも、不安だったでしょうに。
母子の絆。
目にとまったので、本棚から十ウン年ぶりにひっぱりだされた写真達です〜。
photo by 小沢忠恭先生
今日は事務所で打ち合わせなので、行ってきます!
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