親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」11
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
11・「墓地」
月夜の墓地です。
チルチルとミチルがこわごわやってきます。
「ねえお兄ちゃん、こんな所に青い鳥がいるの?」
「死んだ人の誰かがかくしてるかもしれないって聞いたんだ」
「死んだ人っていじわるするの?」
「何もしないよ。白くて冷たくて、じっとしてて、何もしゃべらないんだ」
「夜中にダイヤモンドを回すとお墓から出て来るんだって」
時計が12時を打ちました。
「さあダイヤモンドを回すぞ」
「わたし怖いわ!」
墓石がぐらぐらとゆれて持ち上りました。
白く細い煙のような物が立ち昇ると、見る見る白い花になりました。
花は次々と墓地を埋め尽くし
夜明けの光の中に輝きました。
お墓はもうありませんでした。
「死んだ人たちどこへ行ったのかしら」
「どこにもいなかったね」
(青い鳥)もいませんでした。
(つづく)