親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」16
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
16・「別れ」
「さあ皆、家に帰って来ましたよ。私たちはこれでお別れです」
光は言いました。
「(青い鳥)はどこにもいなかったね」
チルチルはしょんぼりしていました。
「私たちはできるだけの事をしたのです。
(青い鳥)はいるかもしれない、いないかもしれない。
鳥かごに入れるものではないかもしれませんよ」
「今夜もクリスマスの夜だ。ぼくたち一年間旅をして来たんだ」
「イヌもネコもパンも火も皆お別れをなさい。時間が迫っています。
私たちはお別れしてもいつもあなたたちのそばにいますよ」
皆はなごりを惜しんで二人にあいさつをしました。
「いや、いや、光ずっといっしょにいて!」
ミチルは光にかじりついて泣きました。
「ぼっちゃん、ぼっちゃん、ぼくはいつまでもお役に立てる事をしますよ。
今までも、これからも」
イヌは二人にからみつきました。
時計が時を打つ音が聞こえました。
「時間です。さあ二人とも家へお入り、お入り」
光は二人を家のドアに入れて閉めました。
「さよなら・・・」
遠くで悲しげなイヌの声がしました。
(つづく)
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