親子で読む絵物語・第1話「青い鳥」15
「青い鳥」
原作・メーテルリンク 文・水野英子
16・ばら色のあけぼのの光に包まれて白と金の帆の船が見えます。
子供たちがいっせいに駆け寄りました。
「生まれることになっている子供だけだ。こら、おまえはまだだぞ。
おまえは行きたくなくても行くんだ」
「ぼく発明品を忘れて来た」
「押し合うんじゃない。時刻はもう迫っている」
おじいさんは厳しく子供たちを選び分けて行きます。
「一人たりない」
(恋人たち)の男の子が引き出されました。
「私たちいっしょにいきます!」
「一人だけだ。そう決まっている」
女の子が叫びました。
「私、後から生まれたらあなたをどうやって探せばいいの?!」
「世界で一番きみを愛しているのがぼくだよ」
「私は世界で一番不幸な者になるわ。
そうすればあなたは私がわかるでしょう」
子供たちを乗せた船は、だんだん遠ざかって行き、
子供たちの歓声が聞こえました。
「やあ地球だ!きれいだなあ、明るいなあ!」
すると遥か遠く深い底から喜びと希望に満ちた歌声が沸きあがって来ました。
「あれは?」
「子供たちを迎えるお母さんたちの歌声です」
子供たちがすっかりいなくなった広間を見回したおじいさんは
チルチルたちを見つけました。
「やっ、お前たちは何だ!なぜ青くないんだ!」
「ダイヤモンドを回しなさい!私は(青い鳥)をつかまえました。
早くもどりましょう!」
光は二人をうながしました。
でも(青い鳥)は・・・赤くなっていたのです。
(つづく)
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