「よいしょ!よいしょ!」(泣けた話)
この言葉は日本フードアナリスト協会の横井理事長から教えて頂いたお話の中の言葉です。横井理事長はこの話をお知り合いの和尚さんからお伺いしたのだそうです。
それでは早速参りましょう。今日のサリーちゃんの魔法の言葉「ヨイショ、ヨイショ」に関する私のお話にお付き合い下さい。
9歳で亡くなった男の子の49日のご法要を終えたあと、母親が和尚さんに語ったのだそうです。
「あんなに元気だった子が、小児がんだと告げられたとき、どうしても信じられなくてお医者様を激しく問いつめていました。・・・・・」
男の子はそれまで、健康的で元気が良く、めったに風邪も引かない子だったのだそうです。所属していた少年野球チームでも、練習を休んだことはありません。医者の言葉が信じられず、もう一度検査してもらえないかと頼んだのだそうです。
再検査の結果、たしかに男の子の小さな体は癌に蝕まれていました。それからの闘病生活は病院のベットだけが、男の子の生きる場所になってしまいます。家に帰って、以前のように家族と共に過ごしたい、そういった思いで溢れていたのでしょう。ある日、男の子が母親にこんなことを言ったんです。
「お母さん、ぼく死ぬんだよね。お願いがあるんだ。ぼくが死にそうになったら、ぼくの手を握りしめていてね。ずーっとだよ。ぼくの息が止まって、お医者様がぼくの死んだことをお母さんに知らせてくれるまで、ぼくの手を握っていてね。お願いだよ。お母さん!」
母親は涙をこらえることに必死で、返事に困りました。男の子は続けました。
「死ぬって苦しいのかなあ。お母さん。ぼくね、もし苦しかったら、“ヨイショ、ヨイショ”って声を出して頑張ろうと思うんだ。お母さんも一緒に“ヨイショ、ヨイショ”って言ってくれる?」
母親は返す言葉を見つけられず、思わず廊下に出て泣いてしまいました。
とうとうその日が来ました。男の子がまた、問いかけてきたのです。
「お母さん、ぼく一人で死ぬのかなあ、毎日お婆ちゃんがお仏壇にお参りしているから、仏さまが一緒かもしれないね」
とっさに、母親は言いました。
「そうよ、一人じゃないわよ、きっと沢山の仏さまがお迎えに来てくださって、あなたの手を引いたりおんぶしたりして、一緒にいてくださるに決まっているわよ」
満足げで優しい笑みを浮かべた男の子はお母さんの手を握り始めました。
それから、ちょっと息遣いが荒くなりました。口が動いているので耳に近づけてみると、“ヨイショ、ヨイショ”と言っているのです。
母親も男の子の手を握り締めて、耳もとで“ヨイショ、ヨイショ” と言いました。
かけつけた父親もや祖母たちも、みんな声を合わせて。“ヨイショ、ヨイショ” の大合唱!
やがて男の子の息が止まりました。
和尚さんは話を聞きながら涙をこぼしていました。母親もハンカチで涙を抑えながら、「息子は、仏さまと一緒に旅立ったんですね和尚さん。」と天国にいる息子と自分に言い聞かせるように和尚さんに言いました。和尚さんは顔を真っ赤にして大きくうなずきました。
和尚さんは誰かに聞いたこんな言葉を思い出したのだそうです。「老いと死は理不尽そのもの。しかし、現世に理不尽である部分が残されていなければ、人間は決して謙虚にもならないし、哲学的になることもない。
私も、9歳の頃に最愛の祖母を亡くして、初めて深い悲しみを感じました。ついこの間、笑顔でまたね、と祖母の家を離れたのに、再開するときにはベットで目を瞑っていました。日ごろの行いに関わらず、死は身近なものになりうるものですよね。この話を聞いて、日々、感謝の気持ちを忘れないようにしたいと改めて私も思わされました。
というわけで、今日の「サリーちゃんの魔法の言葉」は「ヨイショ、ヨイショ」でした。
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