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第15話 人前で歌う喜び

上京物語15話


上京物語14話の続きである。



僕は1年間は左足のふくらはぎの痛みと戦った。

ただ、そのうち痛ければ痛いほどに左足に対して感謝の気持ちにもなった。


何故かと言うと。

僕の左足の毛細血管が必死に血液を送るためにいつも頑張ってくれている感覚になっていた。


実際に右足より左足の膝下は明らかに目でも確認できるくらいに血管がいつも浮き出ていた。

帰宅すると少し気持ち悪いぐらいに血管が浮気出る事もあった。

そんな時はふくらはぎをさすりながら《ペット》の頭を撫でる様に愛情を注いでいた。



想像すると気持ち悪い光景かもしれないが。

もちろん、左足に話しかけたりはしてない…と思う。。。苦笑




そんな状態ではあったが、バイトが落ち着き少し安定して収入が入ってきたので僕は東京での音楽活動を始める事にした。


安いアコースティックギターをとりあえず購入してコードを覚えたりする為にアーティストのコピーから始めた。


もちろん、コピーしたのは。。。


憧れて、尊敬止まない。

《Mr Children》である。


ヴォーカルの桜井和寿さんのメロディー、歌詞、世界観。

その全てに魅了されていた僕は必死に部屋で練習した。


当時の隣人にはよく壁を《ドンドン》されて無言の忠告を受けたものだ。笑


何の曲から覚えたか?はよくは覚えてないが、全てのCDアルバムを持って聴いていたので《全曲コード表》みたいなのをパラパラめくりながら適当に弾いて歌っていた。


それが何とも気持ちよかった。


もちろんHな気分になっている時とは違う、気持ち良さだ。笑


爽快感と言うか、開放感と言うか、解き放たれた感じが何とも言えない気持ちになっていた。

《俺はもうミュージシャンだ!!》みたいな満足感に包まれていた。



モノマネをもちろん意識はしてなかったが、桜井和寿さん自信になった様な気持ちにもなっていたに違いない。

瞳を閉じると目の前には何万人もお客様がいて僕に注目している感覚に浸っていた。


もちろん目を開けるとワンルームのベットの上にジャージ姿の僕がちょこんと座り譜面台を眺めているのだが。笑


最初はそれで満足していたが、そんな事を何ヶ月かしているうちに何か《物足りなさ》を覚え始めた。


人とは一つの欲求を満たすと、次に行きたがる。

もちろん、人類はそうやって進化してきたのであろう。


僕も同様に次の欲求が目を覚まし始めていた。

目を開けた時に《ワンルーム》の部屋にいる事に飽きてきた。

誰も僕の歌を聴いてない事に不満が募ってきた。


《人前で歌いたい。》


《人前で奏でたい。》


《人前でいい気持ちになりたい。》


《人前で。。。カッコよくなりたい》


その想いがどんどん次第に強くなっていっ

た。


僕はとりあえず人前で歌う場所を考えた。


すぐに

《ストリート。》と思った。


当時は《ゆず》がデビューをしてそれに憧れる様に今より沢山のストリートミュージシャンがいた。

ちなみにゆずもストリートミュージシャンから有名になって今の素晴らしい功績を残している。



誰でも自由にストリートで活動出来た。

今より警察などの取り締まりも厳しくなくて自由に歌う事が出来た。




そして、ある日。


僕はいつも部屋で奏でていたアコースティックギターをケースに入れてある場所に向かった。


向かった場所は当時沢山のストリートミュージシャンがいた大きな駅である。


そこは溝の口駅である。

僕が当時住んでいた場所から近く僕がストリートデビューするには丁度良かった。


《この場所から売れる!!》

と思った。


偶然有名なプロデューサーらしき人が通り


『君には才能がある!デビューさせてあげよう!!』


みたいな事を想像していた。


。。。苦笑





ただ、すぐに現実を突きつけられた。


他のストリートミュージシャンにすでに実力は完全に負けていた。。。


ギターは上手いし、歌は上手いし。

そして、何よりも人前で堂々と唄っていた。





《今に見てろよ!ここから這い上がってやる!》


そんな事を思いながらストリートを始めた。



だが。


しかし。



僕は。。。



とりあえず。。。




人通りが激しい場所では最初は出来なかった。


何故なら《相当ビビっ》ていた。


人前で唄ったことなどカラオケ以外は無かった。

カラオケも本当に仲のいい人の前だけだった。

後はT君の前だけだった。


※T君とは上京物語3話を読んでもらうと分かります。


僕の事を全く知らない東京人の前で唄うなんて大それた事は未経験だった。

恥ずかしかったし、まだカッコよく自分がなれる気がしなかった。



しかも、今の僕を知っている人は驚くかもしれないが。。。


僕は人前で歌うどころか、人前で話をする事さえも上手く出来なかった。

とんでもない上がり症で臆病者だった。


でも、よくよく考えたらその意味も分かる。

勉強もスポーツも残念な結果しか残してなかった僕には余りにも根拠がなさすぎたからだと思う。


ただ、小学生の頃から学級委員長や文化祭の劇の主役、合唱祭の指揮者などは自らやっていたから不思議である。


《人前には誰よりも出たい。》

《誰よりも目立ちたい。》


でも、めちゃくちゃ臆病者でもあったから、ややこしい。



まぁ、合唱祭の指揮者に関しては歌を唄ってもないしお客様には背中向けてるし…

結局何がしたかったかはよく分からない。。。苦笑




僕自身もストリートでやれる自信はあったものの…

いざ駅に着き沢山の人を目の前にするとに全く駄目であった。

完全にコソコソし始めていた。



とりあえずストリートデビューした日は結局、駅の隅の隅の方で小さな声で唄っただけであった。

一応ギターはケースから出したものの、人が近くにくると弾くのを止めて唄うのも止めた。


人前で歌いたいからこそ。

誰かに聞いて欲しいからこそ。

思い立ってストリートに来たのに全然勇気が出なかった。



結果的に僕は人通りが一番多いメインの目的の場所で歌う事が出来るようになるまでは、それから何カ月も後だった。



僕はいつも毎週土曜日の20時から終電までストリートに行った。


当分の間は人前で歌を唄うと言うよりは練習みたいな感じであった。


駅の隅っこの人通りが少ない場所に譜面台を置き歌を唄う。

ストリート仲間も出来て一緒に歌う。

そんな事を続けていた。



でも、そうこうしているうちに僕は少しづつストリートで歌う事に慣れていった。

そして、そのうちに大声で歌う様にもなり人が近くに来ても気にならなくなってきていた。


そして。


ついに!!


その日が来た!!!






その日もいつもの様に大好きなMr Childrenの曲をギターで弾きながら唄っていた。



すると、突然2人組みの女の子が僕の目の前に来て


『なんか、聴かせてください!』


と言ってきた。



《えっ。。。》


…。


…。




僕は明らかにドギマギしながら。

たどたどしくなった。





『ミスチルしか出来ないですよ。。。』


っと答えた。




すると!!!



『ミスチルが2人とも大好きなので何でも良いですよ!』



女の子2人組みは満面の笑顔で顔を見合わせながらそう言った。


僕は勇気を振り絞った。

心拍数はとっくにK点を超えていた。


そう、僕にとって大ジャンプをしなければいけない。。。


《勇気!》


《勇気!》


《勇気を出せー、広音!!!》


自分に言い聞かせた。




僕は正直震えた。


足も手も、指先も。

そして、声までも。


結果は全く上手くいかなかった。

ただでさえ、ギターも歌も下手だったのに。。。


さっきまで普通に出来ていたのに緊張で思うように出来ない。。。



《僕。。。かっこ悪過ぎる。》


それでも女の子達は2曲は聞いてくれて一緒に歌ってくれた。


そして、その後に


『頑張ってください!』


と笑顔で言ってくれて立ち去っていった。


僕はその後も数時間。

緊張が解けなかった。


心臓はドキドキ。が止まらない。

ギターを持つ指先は震えている。


《マジで緊張した。。。》


ただ。


でも。







《最高!!!!》



僕はめちゃくちゃ幸せな気持ちになっていた。

気分は高揚していた。



上手く出来なかったのは、充分分かっていたがそれでも2曲聞いてくれて手拍子しながら一緒に笑顔で唄ってくれた。


しかも、若い同世代の女の子。


…。。。




今思うと女の子でなかったらあんなに緊張しなかったかもしれないが。笑



でも、とりあえず僕にとって新たな一歩踏み出した気持ちになっていた。


僕にとってはただの一歩ではなく、大きな大きな一歩だった。


もちろん、その女の子達の連絡先も名前も、顔さえもよく覚えていないが僕の最初のお客様であったのは間違いない。


《本当にあの時は2人組みの女の子、ありがとう〜〜〜〜〜ございます!!》




その日は自宅に戻ってもなかなか寝つけなかった。


《もっともっと上手くなりたい。》


その思いが僕の身体を寝かさなかった。


《もっともっと褒められたい。》

《もっともっと感動させたい。》

《もっともっとカッコよくなりたい。》

《もっともっともてたい。》


そんな思いで引き続き練習した。


《もてたい気持ち》と言うのは本当にエネルギーになる。

最高のパフォーマンスを生み出すと思う。




今でも僕は。


声を大にして言う!!




《もてたいんだ〜〜〜〜〜〜!!!》笑



ただ、上京当時の《もてたい》と今の《もてたい》は意味が違う。




今は

もっと評価されたい!

面白いと思われたい!

何より人として魅力があるようになりたい!!


老若男女問わず色んな人から応援してもらえる様な人になりたい!!!


モノマネという素晴らしいエンターテイメントをもっと沢山の人に知ってもらいたい!!!!


という意味でもてたい気持ちがあります。


これからも応援をよろしくお願いします^_^







僕はストリートでそんな経験もしながら少しづつ人前で歌う事に慣れていった。



そして、僕の次なる欲求は

《オリジナルソングを作りたい》だった。


僕の言葉で、僕のメロディーで。

曲を1から作りたい。


《僕の気持ちを。僕の想いを。聞いて欲しい》



だって、僕には

才能があるから。


そう思っていた。



もちろん!!


…。。。




僕に《才能が無い》事にはすぐに気付かされる事になる。




つづく。




次回は《かっこ悪いオリジナルソング》です。





※左足の事があったから今では余計に散歩が好きなんですV(^_^)V

気分転換にもなりますし、新ネタや新たな発見もありますし(^_-)



とにかく前を向いてこれからも歩きますo(^▽^)o

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田舎育ちなので自然に触れると落ち着きますV(^_^)V

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綺麗な花と僕が沢山咲いてました♫笑
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広音(ひろと)

広音(ひろと)
身長:172cm
生年月日:1979.3.15

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