去年の夏にKO負けしてからの一年間、ずっと一人でやってきた

女も作らず、遊びの誘いも断るようになって、

携帯は仕事の用件以外では殆ど鳴らなくなったけど、

それから3連勝と結果も出て、

俺はずっとこうして一人でやって行けるって思っていた


でも、今回の試合の準備は、正直キツかった


環境を変えて、マネージャーも付けず、本当に準備は全部一人でやって、

初めての減量も、性欲も完全になくなるくらい、いろんなものを削ぎ落として

最後は睡眠薬に頼らないと眠れなくなった

間違いなく、今までで一番、命を削ったと思う


練習やって、マネージャーがやるような仕事も全部やって

炊事洗濯、家のことも全部一人でやって

最後は睡眠障害みたいになって、本当にギリギリだった


でも、俺には出来ると思っていた

これくらい出来なくて、この先、一人では生きて行けないと思った


出来なかった

勘違いだった


本当に、これまでで一番、命を削って準備したと思う

それも、階級を下げれば、

もう一度世界の舞台で戦えるという大きな希望があったから

その希望と共に踏み出した第一歩で、全然動けなかった

相手は全然世界レベルじゃないのに

こんなんじゃ世界レベルどころか、デビュー戦の奴とやっても勝てない、

勘違いだったと思う出来で、

残ったのは、自分に対する失望と、

この先への果てしない絶望感

そして、気の遠くなるような孤独感


負けて家に帰ってみると、

自分で望んだことだけど、

俺は完全に独りになっていた


応援してくれる人はいても

心から信頼しているボクシングトレーナーに少しだけ

もうダメかも知れないって話した以外

誰にも本音を見せられず

一生懸命にカッコつけて、虚勢を張って帰ってきて

自分の全てを曝け出せる相手なんて一人もいないことに気付いて

こうして活字にすることでしか、本当の思いを吐き出すことが出来ない


人間は、調子がいいときに強気でいるのは簡単で

逆境に立たされたときに、その真価が問われるというけれど

俺にとって、またそのときがやってきた


でも、疲れた

今は何も考えたくない

何も考えず、何もかも忘れて、ただゆっくりと休みたい


俺の真価を問うのは、それからにしてほしいけど

もし今、この瞬間の俺で、俺という人間を評価されるとしても

俺は戦えない

もう、どうとでも好きなように評価してくれ



それでも明日はやってくる

人生は、頑張る人にほど厳しく出来ていると言うけれど

こんな思いをまたするくらいなら

もう頑張ることをせずに適当に生きていく

そういった選択もありかな、なんて

生まれて初めて思ってしまっている


まさか俺に、こんな日がやって来るなんて

夢にも思わなかったけど

こんな日がやって来てしまった


俺の明日は、どっちなんだろう

 

 

なんて文章が、携帯の下書きフォルダに、
2010年8月29日の日付のまま残っていて、

部屋の遮光カーテンを閉め切ったまま、
朝も昼も夜もないような日々の中、

時間も分からないような一日中暗い部屋のベッドの上で、
何日か掛けて、そのときの自分の心情を活字にしたものなんですが、
久しぶりに読み返したけど・・・ヘビーですね。
階級はライトにしたというのに。

・・・すみません。
いろんな意味で。

 

あなたがもしも　もうやめたいと
言ったなら　そばに寄り添って

つらかったこと　朝が来るまで
語り合おう　また前に進めるようにと

 

って一節のある倖田來未の曲、知ってます？
ホント、このときは何よりもそんな時間が欲しかったんですけどね、

でも、そんな存在は俺にはいなくて、
話を聞いてくれるのは、携帯の新規メール作成ページだけだったという。涙

それでも、書いていると誰かに聞いてもらっているのと似たような感じで、
ほんの少しだけ楽になれるような気がして、

これまでに書いてきた、どの文章よりも時間を掛けて、
可能な限り自分の気持ちに近い表現が出来るまで、
暗い部屋のベッドの上で長い時間、
何回も何回も書き直しながら、
携帯に活字を打ち込んで、

一日中真っ暗な部屋の中で、
心も真っ暗な状態で、
両方の意味で、本当に闇としか言いようのない、
そんな時間でした。

そして、その闇がそのうち・・・

 

と、勿体ぶった終わり方をしてすみません。
ここまで、まだライト級転向初戦の一週間後までの話しか書けてないんですが、

今回の話の内容がエマニュエル・ヤーブロー並みにヘビーなだけに、
さすがに書くかどうか、ちょっと迷ってモタモタしているうちに、
私の格闘家としての最終章第一幕の日取りが決まったようで、
明日、会見に出席することになってしまいました。
まだ1週間／2年しか書いていないのに・・・

すみません。

本当は、この2年間の話を最後まで書いて、それから試合が決まって会見、
という流れのほうが良いよなと思って、そうしようと目論んでいたのに、
まだ1週間／2年・・・

すみません。

でも、もうどうしようもないので、
とりあえず、明日、

 

俺は、会見にゆく