ブシャールのコーチの賢明なアドバイス(ベンチッチを気絶するまで応援するブログ51)
思い返せば、今年1月の全豪オープンの4回戦。
中国のジャン・シューアイとの対戦中に、アメリカのマディソン・キーズが股関節を痛めました。
第2セット途中から動きが鈍くなり、第3セットになると、もはや歩くこともできずに、キーズは痛みでコート上で涙を流していました。
しかし、グランドスラムでは、「コーチは選手にアドバイスをしてはいけない」という特殊ルールがあります。
(ちなみに、男子は通常の大会でも、コーチのアドバイスを受けることは禁じられています)
選手は、全豪オープンという大舞台ですし、ボロボロの体でも棄権はしたくないという心理が働きますが、これがボクシングでしたら間違いなく「タオル」でしょう。
最後までコートに立っていたキーズは立派でしたが、将来のある選手なので、「棄権して欲しい」と思いながら観ていたことを今でも忘れません。
さて、現在開催中のチャールストン・オープン(いよいよ、クレーコートシーズンの開幕ですね)。
1回戦不戦勝のベリンダ・ベンチッチが登場したのですが、マイアミ・オープンで背中の故障で棄権してからまだ10日です。
そして、ベンチッチの背中の状態が万全ではないことは、見た瞬間にわかりました。
体重がまったく絞れていませんので、満足に練習もできなかったのでしょう。
さらに、足首まで痛めてサポーターを巻いている痛々しい姿。
もう、ベンチッチは勝つ気などないように、相手のボールをノーバウンドでリターンしてホームランなど(ドライブボレーではありません)、もはや「わざと負けた」としかいいようのないテニスで、実況も、”It’s a shame!” を繰り返していました。
蛇足ですが、”It’s a shame!” は、「なんと恥な!」という意味ではありません。
「残念だ」「気の毒だ」という意味です。
ただ、ボクの目には「恥」に映りました。
なぜ、戦えない体で出場したのでしょう?
ボクは、 以前のブログで 「このままではベンチッチは周りの大人に潰されてしまう」と書きましたが、正直、一番恐れていた状況に向かってまっしぐらです。
今年は、TOP20から陥落する恐れもあります。
さて、今回の大会で、同じく怪我を負ってまったく別の対応をした選手がいます。
それが、ユージニー・ブシャールです。
写真を見れば言うまでもなく、「テニス界の宝」とも言うべきスター選手です。
(マリア・シャラポワがいない現在となっては特に)
確かに、今はランキング45位と低迷していますが、2014年のウィンブルドンの準優勝者です。
このブシャールが、6-1でセットを取ったあと、腹筋の痛みを訴えて、メディカル・タイムアウトを取りました。
そして、駆け寄ったコーチがこう言ったのです。
“Pull out! This game isn’t the final of Grand slam”
「これはグランドスラムの決勝戦じゃないんだ。棄権しろ」
素晴らしいアドバイスだと思いました。
ブシャールは、まだ弱冠22歳です。
しかも、上述のとおり「テニス界の宝」です。
ボクは、ブシャールの試合はほぼすべて観ていますが、現在、ネットプレーを増やすテニススタイルに変えている最中で、観るたびにテニスの質は向上しています。
彼女の将来を考えたら、怪我を押してまで試合をする意義が見い出せません。
確かに、6-1でセットを取っていましたので、「勝ちたい」という気持ちはあったでしょうが、仮に勝っても、次の試合で負けるでしょう。
それならば、2014年に準決勝まで進んだ、来月の全仏オープンを見据えて、怪我の悪化を防ぐべきだと思います。
(しかも、この試合は、優勝したマリア・シャラポワに3セットの死闘の末敗れたもので、この大会でブシャール人気が爆発しました)
そして、普段はコーチのアドバイスをあまり聞かないブシャールも、棄権を選択しました。
コーチのアドバイスは、全世界に放送されています。
その中で、選手に棄権を勧めるのは相当に勇気のいる行動だと思います。
大会主催者も愉快ではないでしょう。
しかし、これまでは「ブシャールになめられているコーチ」という印象しかなかったのですが、素晴らしいアドバイスだったと思います。
そして、そのアドバイスどおりに、続ければ恐らく勝てた試合を棄権したブシャールも立派だと思いました。
ますます、ブシャールのファンになりました(*^^*)
最近の画像つき記事
-
ソフィア・ケニン、リヨン・オープン優勝!(女子テニス359)
-
ソフィア・ケニン、リヨン・オープン決勝進出!(女子テニス358)
-
ソフィア・ケニン、全豪オープン2020優勝!ガルビネ・ムグルッサを撃破!(女子テニス357)
-
ソフィア・ケニン、大大大金星!アシュリー・バーティーを撃破!(全豪オープン2020)(女子テニス356)
-
ソフィア・ケニン、勝つには勝ったが・・・(全豪オープン2020)(女子テニス355)
-
ココ・ガウフはなぜ負けたのか(全豪オープン2020)(女子テニス354)
-
大坂なおみは、なぜココ・ガウフに負けたのか(全豪オープン2020)(女子テニス353)
-
ワン・チャン、セレナ・ウィリアムズを撃破!ココ・ガウフ、大坂なおみを撃破(全豪オープン2020)(女子テニス352)
-
ベンチッチ、オスタペンコを撃破!(全豪オープン2020)(女子テニス351)
-
シャラポワはこのまま引退してしまうのか?(全豪オープン2020)(女子テニス350)