ロシア紀行 モスクワ編その1
確かに緊張感が足りないことは自覚している。
何処に泊まるのかも、イベントが何処で開催されるかも知らないし。
だから、モスクワの空港に到着して迎えが来ていないと急に不安になった。
30分ほどして、いよいよヤバいなって本格的に思いだした頃、バタバタと空港の入口に、爆笑問題の背の低い方によく似たオッチャンが現れた。
メッチャ慌てて、オマエ絶対に寝てただろって感じで目をこすりながら。
ちょっとだけ仕返ししてやろうとしばらく様子を見ていると、 しわくちゃの「ONARI」と書かれた紙をポケットから取り出して、もうすっかり人気の無くなった出口で掲げてる。
しかも逆さまになってるし。まぁロシア語ってそんな感じだけど(笑)
ま、俺もほっと胸を撫で下ろしながら爆笑問題に近づいて握手を求めると、彼も安心したように右手を差し出した。
挨拶の段階で全くのお互いの言語が通じないことが分かった俺たちは、微妙な距離感を保ちながら駐車場に停めてあった品のない真っ黒な高級車に乗り込んだ。
駐車場に入って車に乗り込むと、またあの慌てた顔になってなかなか駐車場から出ない、のではなく出られないのだ。
矢印通りに行けばいいのにグルグルと。
オマエここさっきも通ったよ、って思ったけどどうせ言葉も通じないので薄目を明けて寝たふりをして過ごす。
爆笑問題、慌てふためいてようやく出口にたどり着くと、今度はモタモタと料金を支払うのに苦労している。
入国して早々の、このコントみたいなサービスに心が和んだ(笑)
ようやく駐車場を後にした爆笑問題、今度はモスクワ名物の大渋滞にはまる。 結構気が短いのか遅々として進まない車の列をイラつきながら急な車線変更を繰り返して進むけど、大して進まない。
挙句、寝ている(フリだけど)俺を揺り動かして、タバコを吸っていいかってジェスチャーで訪ねてくる。
まぁそれで彼が安全運転をしてくれるのならばと思い「どうぞ」と勧める仕草をすると、ニカッと笑って少しだけ窓を開けてタバコを吸い始めた。
お前もどう?って勧められたけど俺は吸わないって仕草で返す。
なかなか優しい奴だなって思うと、小さく開けた窓から流れ込むモスクワの冷気も心地良く感じた。
ホテルは前回と同じ場所で、モスクワ川の畔に立っている。
翌日の午前中、前回来た時に気になった動物園に行こうと思った。
地下鉄に二駅ほど乗って、この辺りかと適当に降りると動物園の前に出た。
幸先いいな、って思いながら入口を探す。
チケット売り場はすぐにわかったけど入口がわからない。 すぐそばにある回転式のドアは出るだけで入ることができない。
見かねた小さな女の子を連れたお母さんが、俺の袖を引っ張るように入口に連れて行ってくれた。 チケット売り場から歩いて一分ほどのところに入口はあった。 効率悪いって(笑)
週末の朝一番。人気のない動物園を歩く。
いろいろな動物が、投げやりな感じでうずくまっていた。
閑散とした動物園だけど、一箇所だけ賑わっている。 映画「マダガスカル」のキャラのぬいぐるみが置いてあって記念写真が撮れる。
動物園として、それって(笑)
そのままクレムリンまで歩いた。
ニョッキリと青空に映える城砦。
イベントが成功したら、必ず中に入ろうと決心した。